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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第14章 寂しがる猫

私が 付き合い出した という事で
紫優くんへの ファンのアプローチは
日に日に 激しさを 増していた。

紫優くんは 
「詩史への想いが 断ち切れないから…
もう少し 待って…」 と
私を 諦めるフリをしつつ 断っている。

そうして
連日アプローチに対応している 紫優くんを 
私は横目に 気にしてしまう。


紫優くんが 女の子と 仲良くしている所なんて
今までだって 散々見てきた。
気にした事なんて 無かった…。

なのに…

まさか… 嫉妬! ?!

自分自身に ショックを受ける。

でも… 
紫優くんに 近づけなくて 寂しい… !


こうして 私は まんまと
紫優くんの 「距離を取る」策略に 堕ちる。

腹立たしくて 悔しいから 抵抗したい…!
のに…
嫉妬と 寂しさが 拭えない…

思いは ずっと その 繰り返しで…
感情が ぐちゃぐちゃに なる…!

もう… 自分でも 訳が わからない…


そうして 
紫優くんを 気に掛けていると
悠理くんから 不意打ちを 喰らう。


「詩史ちゃん… 他所見してると 危ないよ…?」

抱きしめられて… 
頬に キスされた。


「!!!」

「紫優ばかり見ないで? 俺の事も見て?
そんなに 余所見してると 今度は 本当に 
キスしちゃうよ?」

「…。」

言葉が出ずに ただただ 困惑する。


「美味しそうな唇…。 食べちゃいたい…!」

誂う様に 微笑まれて 
俺を 意識しろ とアピールしてくる。


ぼーっとしてたら… 本当に キスされちゃう…!

悠理くんを 見つめ…   焦る。


「詩史ちゃん… また 明日ね…」

悠理くんに抱きしめられて おでこにキスされる。


そうして 家に帰ると…

「お帰りなさい…! 詩史…」

紫優くんに抱きしめられて 
舌を絡めて キスをする。


「紫優くん… こんなの 嫌だよ!」

涙を零して 訴える。


紫優くんは そんな私を 頬を染めて 嬉しそうに  見つめる。

「俺が 好き?   … 言って?」 


頷くだけでは 許してくれない。

アウトプットさせる(言わせる)事で 
紫優くんへの 好きの感情を 
自覚させようとする。


「紫優くんが 好き…」

素直に 伝えると 
紫優くんは 目を細めて 口角を上げた。


「やっと 素直になったね… 詩史…」

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