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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第16章 警戒する猫

「ねぇ…俺には チャンス くれないの?
紫優だけ… なんて 不公平だよ…!」

耳元で 話されると
吐息が かかって 肩が 揺れた。

悠理くんは 私の 反応に 気がついて
耳に寄せ わざと 話しかけ始める。


「俺ともシテよ… 
きっと… 紫優より 気持ちが良いよ…?
ね? 詩史ちゃん…」


「ヤ…め…!」

堪らずに あげた 声が  甘く 響いて…

自分でも驚いて 口を塞ぐ。


「可愛い声 出すんだね…」

気を良くしたらしく 悠理くんの 声が 弾む。

「耳が 弱いの? もっと 聞かせて…?」

耳元で囁かれて 耳に キスされる。

チュッ と リップ音が 響いて…
ぞわっ …!!!
と 震える。

「あ…っ !!」

口を 塞いでいても 漏れ出てしまう 甘い声…

息が上がって… 涙目になる。

「普段 清楚で 高嶺の花の 詩史ちゃん が…
 こんな甘い声を 出すんだね… 」

「んん… ゆうり… くん…!」

ヤメて!
頭を 振って 嫌がる。


「本当に 紫優が ムカつく…!
こんなに可愛い 詩史ちゃんを 独占している
なんて…!」

顎を掬われると…
キスされた。

「…っ!!」

こん… の… !!!

肘と 肩を使って悠理くんを 突き飛ばした。


「いい加減にして…っ!」


唇を拭って 怒りで震える。


その時

紫優くんが 青ざめた顔をして 乱入してきた。

「詩史…!」

抱き寄せようとする 紫優くんに
後退って 距離を取る。


「紫優くん… 悠理くんも… 大嫌い…!!!」

涙目に 睨んで 叫ぶ。


突き飛ばした 悠理くんは 床に尻もちをつき
放心状態で…

紫優くんは 私の 取り乱し様に ただただ
困惑していた。


「2人とも 結局自分の事 ばっかり…!
私の 気持ちなんて 本当は 
どうでもいいクセに…!」

私の絶叫が響いて 何事かと 
周辺に居た生徒が 集まり出す。


私は 2人を残して 
空き教室を 足早に離れた。


恐怖と悲しみと怒りと悔しさが ごちゃまぜで…
悠理くんが 触れた感触が 残って… 



突然 肩を ガッと掴まれて 
後ろに引き寄せられた。

「詩史…!」

力強く 抱きしめてきたのは 紫優くんだと
声でわかった。


「離せ…っ!!」

猫の様に爪を立てて 紫優くんに 抵抗する。

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