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「ダメ…っ！　詩史！　離さない…！」

紫優くんは　私に怯まない。

ぎゅっと　抱きしめて　私を　座らせる。


「嫌っ…　だ…！！！」

紫優くんの腕から　脱出しようと　
私は尚も暴れる。


「紫優くん　なんて　大嫌い！！！」


「…　ごめん…　」


謝ってくる　紫優くんに　　怒りが込み上げる。


そう…　　コレは紫優くんの作戦だ。

嫉妬して迫る悠理くんを　私に嫌わせて

悠理くんに　私を諦めさせる事が目的。


だから　昨日　首に　キスマークを付けたんだ。
ワザと　悠理くんの　嫉妬を　煽る為に…！


「もう嫌だ…！　紫優くんなんて　本当に嫌い…！　大嫌い…！」

涙を流して　叫ぶ。　

「一生　許さない…！」

「うん。　でも　一生離さない…。」

「卑怯者…！　やり方が　汚い…！」

「うん。　でも…　それでも　詩史が欲しいんだ…」


詩史が　欲しい…


紫優くんの言葉に涙が　止まらない。


本当に…　何で　こんなヤツ…
好きに　なっちゃったんだろう…？


「傷付けて　ごめん…
あんなに　悠理が暴走するなんて　思わなかった…」

紫優くんの表情は　泣きそうだ。

「…なんで　アンタが泣きそうなのよ！
ふざけるな…！　一発殴らせろ…！」

仕掛けたクセに　悲しむな！！！

紫優くんの襟を掴んで　締め上げる。


「今はだめ。　家で　いくらでも　言う事聞くから…。」


こういう状況なら…　
いつもなら　　「いいよ」　って
憎たらしい　くらいに　潔く　言う事を聞く。

けど、　今　それを　しないのは…
私達を取り囲む　ギャラリーのせい。


紫優くんの　計画では…　
悠理くんに　襲われて泣く私を　介抱して
キスの１つでもして　
皆に　私との仲を　納得させる計画だった…
とか？


「今の　紫優くん　カッコ悪っ…！」

気落ちする紫優くんに　罵声を浴びせる。


「本当に…」

潔い紫優くんは　私と違って　素直に認める。


「私の　清楚なイメージ　ブチ壊し…！
責任取ってよ…！」

「勿論…」


私は　紫優くんの襟から　手を緩めた。


「…詩史のそういう　優しい所…　大好き…」


「一生　恨んでやる…！」

「うん　責任取るから…」


紫優くんが　私に　顔を近づけ　キスをすると

周りから　悲鳴が上がった。