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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第2章 ファーストキス

「…何だかんだ 楽しそうにしてくれちゃって…!
見せつけてくれるわね…!
倉田さん 早く 紫優くんと 付き合って
あげなさいよ。 紫優くんが 可哀想よ…?」

山崎さんの言葉に 私は 青筋を立てて怒った。

「見せつけてない!!
だから!! なんで そうなるのよ!!!」

「推しの幸せは 私達の幸せ…!
そんなに 哀しそうに 嬉しそうに紫優くんに
反応されちゃったら … 仕方ないわ…。」

山崎さんは 目を伏せ 複雑そうな顔をする。
各所では すすり泣き が聞こえる…。


「だ~って♡ 詩史♡ みんなに認めて貰えたね♡」

紫優くんは1人 るんっ♡ と幸せそうに笑顔を
向ける。

「みんなの為にも ほら…
詩史は 早く 俺を 好きだと 認めなよ ♪」

「認めるって何?! 
私は 紫優くんなんて 嫌い…」

喚く私の顔に 紫優くんの顔が近づき…
紫優くんが 私の唇にキスをした。

ざわ…っ と周りが 騒ぎ
悲鳴も聞こえた。

私は 一瞬 何が起きたのか わからなかった。

両頬を 紫優くんの手が包んで 顔を固定され、
完全に 動きを封じられていた。

「んっ…!」

私の… ファーストキス!!!

体を捩って 抵抗するが
紫優くんの舌が 不意に私の唇を舐めて 驚く。

びくっ!

?!!  な… に ?


力が 抜けてしまった。


唇が離れると 
紫優くんは 私の肩と 頭を抱き寄せた。


「…そういう訳だから
みんなの気持ちは 嬉しいけど… ごめんね。」

頭の上で トーンを落とした
紫優くんの 真剣な声 がする。

ファンの子達の 足音が 散る様に
遠退く。



2人きりになると 
束ねていた 髪の毛が解かれて
紫優くんの指が 私の髪を梳いた。


「ふふっ… ビックリした? ♪」

にこやかに 聞いてくる紫優くんに腹が立って
拳を突き出す。

「おっと…!」

紫優くんは 私の拳を 掌で受け止めて
丸め込む。

力では 勝てない…!

幾度となく思い知らされた 紫優くんとの差…


手の甲で 唇を押えて 紫優くんを睨む。

「何 するのよ…!」

「何 って… キス でしょ…」

唇を押さえる私の手首を 紫優くんが掴んで
引き寄せた。

私は力が 入っていなくて…
簡単に 紫優くんの 腕の中に戻された。

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