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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第21章 愛茉ちゃん

歩きながら ふと 手が 痛む事に気がついた。 


さっき 抑えが効かなくて…
衝動的に 壁を殴っちゃったのよね…
(良い子はマネをしないでね♡)

振り返りつつ 
右手を見ると… 腫れてる? それに 指が
動かしにくい…。

打撲でも したかな…。
そんな事を考えていたら…


「詩史!」

紫優くんの従順な手下、お兄ちゃんが 私を
見つけ、駆けてきた。

私は 咄嗟に 右手を隠す。


「大丈夫か?!」

お兄ちゃんの言葉に 頷く。

「愛茉は…?」
「涙は演技で…。私もつい 怒っちゃって
話にならなかったわ…。」
「全く…しょうがないヤツだな… 
詩史 ゴメンな…!」

ポンッと 頭を叩かれると 涙が出そうになって…
再び 感情を 凍らせた。


「詩史ちゃん! 無事…?」

「大丈夫だよ!」

後から来た 悠理くんに 笑顔を向ける。

それから… 紫優くんにも。


紫優くんは 私に近づくと
後ろに隠していた 右腕を掴んで 
眼前に引き摺り出した。


「右手… 腫れてない? どうしたの?」


何でバレるんだ…
と思いつつ…

「…自爆よ。  バカな事、しちゃったわ。」

伝えると
お兄ちゃんと悠理くんは オロオロと心配し、
紫優くんは 盛大な溜め息をついた。

「…だから 心配なんだよ…!」

紫優くんは 私の手を取ったまま 
スマホを確認する。

「水沢整形が開いてるから… 急ぐよ?
怜央兄、悪いけど 香緒さんに 病院に来てくれる様、お願いして。
俺からも 連絡しておく!」


紫優くんが テキパキと指示を出し、
肩を抱かれたまま、半ば 拉致される形で
誘導される。

でも 人目が 気になって…

「紫優く…」

「俺を これ以上 怒らせたいの?」

紫優くんは 本気で 怒っているらしい…。
いつもの 戯けて引き摺り回す感じとは 違う。


私は そのまま大人しく 紫優くんの 言う事を
聞いて 整形外科で 診察を受けた。


診断は 中手骨頸部骨折 全治2ヶ月。
骨折してると思ってなかったので 驚いた!


「4〜6週間固定か…! やってくれたわね…
詩史…!」

お母さんに怒られて 縮こまる。

「ハイ。軽率でした… どうもすみません…。」

「怜央くんが連絡くれた時、何事かと思ったわよ…!ちゃんと怜央くんにも紫優くんにも謝って
いらっしゃい!」

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