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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第24章 16年分の想い

どんな手を使っても 誰にも 渡したくない。

ストーカーめいた想いは 家族… 
特に 母親を 心配させた。


小学6年生の 4月

「ええ?! 
詩史ちゃんと 同じ学校に行きたい?!
受験日まで8ヶ月くらいしかないわよ?!
何を 突然…!」

「詩史が 受験するなんて 知らなかったんだ!
どうして 教えてくれなかったんだ!」

家のリビングで 俺は 母親に 食って掛かった。

「いや… 詩史ちゃんが 嫌がるし…」

「俺は… 詩史の側に居たい!
詩史が居ない生活なんて 考えられない…!」

「…そこまで言うなら 
ダメ元で受験してみたら? 
どうせ 受からないでしょうけど…。」

母親は 俺の勢いに負け
仕方なく 受験だけさせてくれた。


そうして俺は 見事 
M大附属中学に 合格した。


「ご… 合格…!?!」 

普通は喜ぶべき事だが…  
母親は青ざめて  慎重に 俺と向き合った。

「紫優の… 詩史ちゃんへの気持ちは 
わかるけど ね?
詩史ちゃんの気持ちも ある事だから…
紫優の一方的な想いだけでは 関係は 成立
しないものなのよ?」

母親の言いたい事は よくわかっている。

俺は… 詩史を 愛し過ぎてる…。
距離感を 心配しているのは わかっている。
でも…

「…わかってるよ。 十分に… 
わかってるんだ…! 
詩史の心は 詩史のもので…
力づくで どうにか出来る事じゃない…!
けど… 今はまだ… 諦めたくないんだ…!」

まだ… ある筈なんだ…!
詩史の心を 振り向かせる方法が…!


「4年… 高校2年になっても 
詩史が俺を 見てくれなかったら…
ちゃんと 諦める!
大学は… アメリカの大学を受けて…
もう2度と ココヘは 戻らない…!」

俺の強い意志に 母親は 溜め息をついた。

「…詩史ちゃんが 
振り向いてくれると いいけど ね…。」


合格発表の翌日
俺の顔を見るなり 詩史は 溜め息をついた。

「… やっぱり 付いて来たのね…。」

うんざりと 嫌そうな 顔をした。
でも それは 一瞬で…
ふふっと 詩史が笑いを 漏らした。

「準備期間 少なかった筈なのに
何で 合格出来るかなあ?!」

声を立てて 笑い…

「さすが…! っくくっ… 凄いわ…
紫優くんの そういうトコ 嫌いじゃない…!」

最後には涙目で 大笑いした。

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