止まない雨はない
第2章 プリテンダー
「…タオル……とにかく、タオルで血を止めないと…」
タカシはすぐにタオルを持ってくると、ルカの鼻の上にあてがった。
「………そんなに慌てなくても、平気です、タカシさん。自分でナート出来ますから」
「そういう問題じゃないよ!ルカ!なんてことをしたんだ?こんな深い傷、よりによって顔に……」
「言ったでしょ……タカシさん。傷があったところで、医者として差し障ることなどない。それに…」
少し痛そうに顔を歪めながらルカは笑う。
「……あなたを失う苦しみに比べたら、こんなの、どうってことないんです…」
タオルはあっという間に真紅に染まった。
ルカは落ち着いた様子で、タカシの家に常備してあった、サージカルテープを
15cmくらいにハサミで切ると、軽く化膿止めを塗り、自分の傷の上に直接ざっくりと貼り付けるのだった。
あまりの荒い手当てに、タカシの方が心配でならない。
けれども、相当痛みが酷いはずのルカは随分平然としていた。これにはさすがのタカシも舌を巻いた。
自分の愚行を諭すため、鬼気迫る覚悟のルカを初めて目の当たりにしたことで、それ以上は何も言えなくなってしまったのである。
(……ったく。なんて激しいヤツなんだろう。このままだとホントにオレはクズじゃないか)
タカシはすぐにタオルを持ってくると、ルカの鼻の上にあてがった。
「………そんなに慌てなくても、平気です、タカシさん。自分でナート出来ますから」
「そういう問題じゃないよ!ルカ!なんてことをしたんだ?こんな深い傷、よりによって顔に……」
「言ったでしょ……タカシさん。傷があったところで、医者として差し障ることなどない。それに…」
少し痛そうに顔を歪めながらルカは笑う。
「……あなたを失う苦しみに比べたら、こんなの、どうってことないんです…」
タオルはあっという間に真紅に染まった。
ルカは落ち着いた様子で、タカシの家に常備してあった、サージカルテープを
15cmくらいにハサミで切ると、軽く化膿止めを塗り、自分の傷の上に直接ざっくりと貼り付けるのだった。
あまりの荒い手当てに、タカシの方が心配でならない。
けれども、相当痛みが酷いはずのルカは随分平然としていた。これにはさすがのタカシも舌を巻いた。
自分の愚行を諭すため、鬼気迫る覚悟のルカを初めて目の当たりにしたことで、それ以上は何も言えなくなってしまったのである。
(……ったく。なんて激しいヤツなんだろう。このままだとホントにオレはクズじゃないか)