止まない雨はない
第4章 Bar Lucas
歓楽街のちょっとした路地裏に入ると、こじんまりとしたピアノバーがある。
マスターの趣味で適ったインテリアと、少し時代遅れな疲れた感じ。
それが『BAR、ルーカス』だった。
「ハイ!質問!!」
鳴海はカウンターに向かってマスターに訊ねた。
「ルーカスって、アレじゃね?ほら、アメリカの超有名なカントクの名前!!」
すると、白のカッターシャツと黒のベストに着替えながら、佐屋が横から口を挟んだ。
「…マスターがワケあって付けた名前なんだろうけれど、そろそろ由来を僕たちに
教えてくれてもいいじゃないですか?」
「あー、のー、ねー、君たち、未成年で働く場所が無いって泣きついてきたから、
オレが風営法で罰せられるのを覚悟でオレの親戚ってことで雇って
あげてんのに…余計なことを意見したりしないの!いい?」
「だってー、電話出るときにココの屋号が有名人の名前すぎてこっ恥ずかしいんだって!」
口を尖らせて不満そうな鳴海に、タカシはさも当然というような顔で言い返す。
「うちはね、鳴海くん。ラーメン屋じゃないの。
しょっちゅう出前の注文とかの電話がジャンジャンバリバリ鳴るっていうなら別だけど、めったに鳴らないでしょ、アレ」
彼が指さした先にある電話器は、握り手の細い、クラッシック調のダイヤル式だった。
ホント、いまどき流行らねーっ!と鳴海はいつも思っている。
「佐屋、そろそろOPENのプレート、表に出しておいてね」
「ハイ、マスター。ほら、鳴海、ちゃんとモップがけしておいて!今日は君が当番だろ?」
「へいへい、わかってるって」
やる気があるのかないのか、マスターの営業意欲は全く持って不明ではあるが、
この店には何人か、常連客がいる。
一番熱心に通いつめている客だが、彼はいつもほぼ開店直後から閉店までいたりする。
木のドアの建て付けがいまいち良くはないので、ドアが開くときには少し耳障りな音がする。
ある意味、ドアベルなどに頼らずとも、来客を知らせてくれる音だろうか。
マスターの趣味で適ったインテリアと、少し時代遅れな疲れた感じ。
それが『BAR、ルーカス』だった。
「ハイ!質問!!」
鳴海はカウンターに向かってマスターに訊ねた。
「ルーカスって、アレじゃね?ほら、アメリカの超有名なカントクの名前!!」
すると、白のカッターシャツと黒のベストに着替えながら、佐屋が横から口を挟んだ。
「…マスターがワケあって付けた名前なんだろうけれど、そろそろ由来を僕たちに
教えてくれてもいいじゃないですか?」
「あー、のー、ねー、君たち、未成年で働く場所が無いって泣きついてきたから、
オレが風営法で罰せられるのを覚悟でオレの親戚ってことで雇って
あげてんのに…余計なことを意見したりしないの!いい?」
「だってー、電話出るときにココの屋号が有名人の名前すぎてこっ恥ずかしいんだって!」
口を尖らせて不満そうな鳴海に、タカシはさも当然というような顔で言い返す。
「うちはね、鳴海くん。ラーメン屋じゃないの。
しょっちゅう出前の注文とかの電話がジャンジャンバリバリ鳴るっていうなら別だけど、めったに鳴らないでしょ、アレ」
彼が指さした先にある電話器は、握り手の細い、クラッシック調のダイヤル式だった。
ホント、いまどき流行らねーっ!と鳴海はいつも思っている。
「佐屋、そろそろOPENのプレート、表に出しておいてね」
「ハイ、マスター。ほら、鳴海、ちゃんとモップがけしておいて!今日は君が当番だろ?」
「へいへい、わかってるって」
やる気があるのかないのか、マスターの営業意欲は全く持って不明ではあるが、
この店には何人か、常連客がいる。
一番熱心に通いつめている客だが、彼はいつもほぼ開店直後から閉店までいたりする。
木のドアの建て付けがいまいち良くはないので、ドアが開くときには少し耳障りな音がする。
ある意味、ドアベルなどに頼らずとも、来客を知らせてくれる音だろうか。