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止まない雨はない

第7章 ドルフィンリング

「どこに下りるかな?見失ったんじゃね?」

「そうだね……あれだけ挙動不信だったから、大人のおもちゃコーナーの階?」

冗談なのか本気なのかどちらとも思えない佐屋の言葉に、鳴海はかなりドン引きした様子だった。

「……佐屋が自分で行きたい場所なんじゃねーのかよ」

少し軽蔑しかけた眼でチラリと鳴海は彼を見る。

「……え?ひどいなぁ…僕はちゃんと考えて推理したのに…」

とりあえず、自分たちは階段で先回りして、上の階から順番に下りてくることにした。


電化製品の階………姿ナシ。

衣料品の階………姿ナシ。

ブランド、貴金属の階…………

「いた!いたぞ、佐屋!」

「え?どこ?」

「ほら、ガラスのケースの前で、店員と話してる」

なるほど、鳴海が指さした方向に、タカシと同世代ぐらいの店員の男二人が親しげ
に話しながら、まるで何かを探しているかのように、ショーケースに釘付けになりつつ腕組みをしていた。

「……鳴海、ショーケースの中って、時計とかジュエリーだっけ?」

「オレ、前、この階に来たことあるけど、そン時はあのケースの中って指環だった気がするっ…」

指環???

二人は同時に顔を見合わせた。

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