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止まない雨はない

第7章 ドルフィンリング

そしてケースをそっと開けるルカ…。

「………あ!イルカだ!可愛いですね!もしかして、コレ、オレに下さるんですか?」

「……笑ったりしないの、ルカ?」

「…笑う?何故です?恥ずかしがり屋のあなたが、オレのために買ってくれたんですよ?笑うわけないじゃないですか?それに…」


イルカ…って……。夏に海に行ったときのことをいつでも思いだせるから。

「……本当は、オレがルカを想う気持ちを表したくて、シンプルな指環とか考えていたんだ。でも、お前、診療中は邪魔になるだろうし」

「…だから、ネックレスになるようにチェーンまでつけてくれたんですか?嬉しいです…」

ルカ………。

どうしてお前はいつも、

オレをこんなに幸せな気持ちにしてくれるんだろうな…。


「……今、付けてくれませんか、タカシさん?」


「あ、ああ、ちょっと待って…」


ネックレスのチェーンにドルフィンリングを通すと、タカシはチェーンをつまみ上げ、ルカの首へ架けてやった。
ケーシーのボタンを少し緩め、ルカはペンダントトップとなった、ドルフィンリングを手の平に置いて見つめる。

「……やっぱり……タカシさんらしいな」

「え?どうして?」

「それは……オレ…だけの、タカシさんだから…秘密です」

ルカは両手を伸ばし、目の前の愛しい人の首をつかまえ、そっと引寄せた。

「………オレ、今からタカシさんに、永遠を誓うキスが出来そうですよ…」

「……ルカ」

お互いの顔の距離がそっと近づき、ゆっくりと唇が触れ合っていく。
長く交わされる、優しいキス。
タカシが愛して止まない彼は、瞳を閉じて、ゆったりと彼の胸の中へと、身を委ねるのだった…。

窓の外は眠らない街。

雑踏のざわめき、遠くで聞こえるサイレンとクラクション。

歓楽街の片隅で、純粋な大人の恋はそっと今でも永遠を奏で続けているに違いない…。

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