テキストサイズ

万華鏡トワイライト

第3章 八幡神社

参拝を終えて、さっさと帰り始めた母親の背中を後ろから眺める。私が母親の身長を越したのは、いつ頃だったか、ハッキリとは覚えていないが、確か中学3年生の頃だったように思う。

まだ、この近所に住んでいた頃は、当然私のほうが小さくて、なんならおんぶされたりしてこの辺りを歩いたこともあったはずだけど、今は母の背中をとても小さく感じる。

そういえば、今朝の夢の中のおばあちゃん、大きかったなぁ。いや、夢の中の私が小さい頃に戻ってたのか。まぁ、夢、だからね。

「お母さん!!」
「何?」
「んー、と、あ、え〜と、ここ来る途中で見かけたパン屋さんにさ、帰りに寄ってみない?」

本当は、産んでくれてありがとう、ということを伝えようと思ったんだけど、突然そんなコトを話したらビックリされそうな気がしたし、何より照れ臭くて言えなかったから、誤魔化した。

「そうね。美味しそうな匂いしてたもんね」

パン屋に入ると。香ばしい良い匂い。ベーコンエピ、チーズカンパーニュ、レーズンと胡桃の入ったベーグルetc.

サンドイッチなどの軽食やコーヒーなどのドリンク類もあり、ついつい買い過ぎてしまった。でも、どれも美味しそう。

コーヒーは、豆(粉)の販売もあったし、パンに合うオススメのジャムなども陳列されていた。

たくさん並んだ美味しそうな商品を見ていると、なんだか、久しぶりにワクワクした。

そして、ちょっと買いすぎた?かも??

たくさんのパンが入った袋を抱えた私と、両手にコーヒーのカップを持った母。神社に行ったついでにパン屋に寄ったのか、パン屋がメインで神社がおまけなのかわかんないよね、これじゃ。

でも、とりあえず楽しみが出来て嬉しい。車に乗り込み、助手席でアイスカフェ・オ・レをいただく。

パンは帰ってからのお楽しみ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ