万華鏡トワイライト
第2章 明けの明星
いつもなら、自室に戻ってスマホを充電器に戻したら、パジャマに着替えて布団に入るのだが…今日はまだなんとなく眠たくなかったし、どうせ今日は仕事も休みなので慌てて今すぐ寝る必要もないと考えた私は、久しぶりに部屋のカーテンと窓を開けた。さぁっと心地よい風が吹く。ここの窓は滅多に開けない。たまには換気も必要かも、と思いつつ、外を眺める。そして、明けの明星を見つけた。子どもの頃は、天体を眺めるのも結構好きで、星座にもそこそこ詳しかった。もう、だいぶ忘れたけど。明けの明星というのは、金星のことだ。さすがにそれぐらいは覚えている。金星は、日没直後か日の出の直前にしか見えない星で、真夜中には絶対に見られない星だ。昼間も見えないけど、昼間は空が明る過ぎるから見えてないだけで、空にはちゃんと「いる」。
東の空で、ひときわ明るく輝く金星。太陽が昇る直前のまだ完全に明るくなりきってない薄明かりの中で、精いっぱい輝いている。日が昇りきってしまえば、太陽に隠れて見えなくなってしまうけど、今はあんなに明るくキラキラ輝いている。そんな金星を眺めていると、なぜだか涙が流れてきた。涙で滲んで、星が2つ、3つあるように見える。瞬きと一緒に揺れる。雲がいろんな色に染められながら、形を変え続ける様子が、なんだか万華鏡みたい。空を眺めるうちに、万華鏡を覗きたくなって、おばあちゃんからもらった万華鏡を手に取った。まぶたにあてて、くるくると回す。流れるように変わり続ける万華鏡内の景色。くるくる、きらきら、同じものしか入って無いはずなのに、ずっと表情が変わり続ける不思議な光景。
「別世界に入ったみたい」
嫌な現実を全て忘れて、不思議の国に入っていくような、そんな気分。夢中で万華鏡を覗き続ける。
やがて、万華鏡越しでもわかるほどに空が明るくなって眩しさで目がくらんだ。徹夜明けのテンション、というか、まぁ、仕事から帰ってきて、そのまま夜ふかしして朝になってるんだから、徹夜明けで間違ってはいないか。起きたのは夕方の5時だから、朝から起きてて丸一日ずっと寝てないとかではないから、一般的な『徹夜』のテンションとは、ちょっと違うかもしれない。
東の空で、ひときわ明るく輝く金星。太陽が昇る直前のまだ完全に明るくなりきってない薄明かりの中で、精いっぱい輝いている。日が昇りきってしまえば、太陽に隠れて見えなくなってしまうけど、今はあんなに明るくキラキラ輝いている。そんな金星を眺めていると、なぜだか涙が流れてきた。涙で滲んで、星が2つ、3つあるように見える。瞬きと一緒に揺れる。雲がいろんな色に染められながら、形を変え続ける様子が、なんだか万華鏡みたい。空を眺めるうちに、万華鏡を覗きたくなって、おばあちゃんからもらった万華鏡を手に取った。まぶたにあてて、くるくると回す。流れるように変わり続ける万華鏡内の景色。くるくる、きらきら、同じものしか入って無いはずなのに、ずっと表情が変わり続ける不思議な光景。
「別世界に入ったみたい」
嫌な現実を全て忘れて、不思議の国に入っていくような、そんな気分。夢中で万華鏡を覗き続ける。
やがて、万華鏡越しでもわかるほどに空が明るくなって眩しさで目がくらんだ。徹夜明けのテンション、というか、まぁ、仕事から帰ってきて、そのまま夜ふかしして朝になってるんだから、徹夜明けで間違ってはいないか。起きたのは夕方の5時だから、朝から起きてて丸一日ずっと寝てないとかではないから、一般的な『徹夜』のテンションとは、ちょっと違うかもしれない。