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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第2章 複座タンデム機の訓練

歳上の女性からのボディタッチはなんの感情もない気軽なものなのだろうが、スコットは少し緊張した


クレアは上司であり、自分に私的な好意は無いと思う


それにたしかクレアは既婚者だったと聞いていた


きっと弟のように身近に思ってくれているのだろう

だとしたら、ありがたいことだ



何も言い返せずスコットは黙り込んでしまう



そのとき、シミュレーションルームのドアが開いて、スコットのパートナーの女性が現れた


ヴァレンティア・ヴァレンティンだ


彼女もシャワーを終えたあと、シミュレーションルームに戻ってきていたらしい


「あら、スコッティまだ帰ってなかったのね!今日の連携はとっても良かったわね
 明日はどうする?このまま私が〈スプート〉の遠隔操作にまわる?
 それともチェンジしてみる?私が〈ブリジニティ〉の操作しようか?」


ヴァレンティアは今日の訓練が思うように進んでご機嫌のようだ


クレアが言葉を足す

「ふたりともどちらの操作も完璧な状態にしてもらうから、かわりばんこでもいいし、まずは今の担当を極めていってもらっても構わないわよ」


ふたりの女性がスコットを見つめる



「そうだね、もう少しこのまま続けていこうか?このまま慣れていったほうが習得も早いだろう?」


ヴァレンティアはぱぁっと顔を明るくした


「そうよね!私もそう思ってた!じゃあもう少しこのまま進めていって、こなれた頃にチェンジしましょうか、週ごとに代わってもいいし!」



ヴァレンティアはスコットの意見が自分と同じように思っていた事に喜んだ


「そうだわ、スコッティはもう今日の訓練は終わりでしょう?このあと街に行かない?」


スコットは何故かクレアのほうをチラリと見た


クレアはそれを察して口を開いた


「行ってらっしゃい、ペアで行動して呼吸を合わせていくのもいい訓練にもなるわよ」


「あら、クレアも終わりなら3人で行かない?」


「ええ?私も?私はいいわよ、若い子だけで行きなさいよ」


「クレアも私とそんなに変わらないじゃない!
 たまにはパイロットと意見交換するのもいいでしょ!これも訓練よ」


ヴァレンティアはスコットとクレアの腕をがしっと組んで強引に引っ張っていった


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