
月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第11章 暗殺部隊
キアラとコーエンは用心して回り道をして宿に戻ることにした
繁華街の真ん中にある宿屋には少し距離がありそうだ
裏通りのスラムのほうからだと、時間はかかるかもしれないが後をつけられても逃げ切れるかと思われる
「れ、連邦政府側だったら別に逃げなくっても……」
「さっきも言ったでしょ?秘密を知った者は敵も味方も消されてしまうのよ
連邦側だろうと、ネオ・ジオン側だろうとね」
コーエンは走りながら考える
自分たちマーティン隊長を中心としたチャームフューリー小隊はもともと隠密部隊でネオ・ジオン側の機密兵器の捜索の任務にあたっていた
おおやけには公表されない特命作戦だ
これらは月面基地の様々なエリアに派遣され、チャームフューリー小隊だけでなく、他の小隊も各エリアを捜索している
連邦の部隊なら同じソースから発令されているだろうから、やはり逃げなくてもいいのではないか、と考えてしまうのだ
コーエンはキアラに自分が隠密部隊のメンバーであると打ち明けていないから、話しがややこしくなっているのだろうか?
でも
この目の前の少女は訳アリだ
こんなにも様々な事態を冷静に対応するのは並の神経ではない
ニュータイプ……、
いや、強化人間か……
コーエンは追手だけでなく、行動をともにしている少女にまで気を許せない状況になってしまった
「……コーエンッ!」
え?と振り向いたとき
すでに巨体の男に押さえつけられてしまった!
壁に頭を打ちつけられる
凄まじい衝撃
意識が飛ぶ
それでも無意識に次の攻撃を避けようと必死に頭を下げる
運良くかわすことが出来た
それでも視界が定まらない
意識が飛びそうになるのをこらえて脚を動かす
だが
男の蹴りが腹を直撃する
身体が宙に浮く
怒涛のように胃が逆流する
汚物を撒き散らす
「コーエン・ゾーフェンか…、まだ生きていたのか」
巨体の男はコーエンを認識した
だが、攻撃の手を緩めず、うずくまる背中に再び蹴りを入れた
〈ぼ、ボクとわかっていて、まだ攻撃してくるッ!?〉
「……運が悪かったなコーエン・ゾーフェン
部隊は全滅か……
隠密作戦を知る者はこれで誰も居なくなる」
コーエンは反撃する気力を失ってしまっていた
