
月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第11章 暗殺部隊
「悪いな、小僧」
巨体の男はうずくまったコーエンの頭を蹴り潰そうと脚を振った
その直後
「がはッッ!?」
突然、男の視界が奪われる
いつの間にかビニールの袋を頭から被されていた
男はまったく気付かなかった
とん…
背中に軽い衝撃
誰かが背中に乗ってきた……?
軽い
子供……?
その瞬間
凄まじい力で首を締められる!
いや、
紐のようなものを巻き付けられている
子供の力ではない
「ぐ……」
首に巻き付いた紐は喉を押しつぶしてくる
さらに紐はビニール袋の上から巻き付いてきて、締まるだけでなく、ビニール袋を圧着していく!
い、息が……!
右腕を背中に伸ばす
左腕を喉元の紐を引き千切ろうとする
だが、
その両腕の指先は鋭利な刃物により一瞬で斬り落とされていた!
指の無い手のひらがむなしく宙を泳ぐ
呼吸が出来ない苦しみ、
それから逃れようと手を動かすにも、
すでに指はなく、
血で塗られ、ぬるぬるとした粘りが広がる
もがけばもがくほど、紐は食い込んでいき
男は意識が飛び、膝から崩れ落ちた
男の背から飛び降りたキアラはうずくまっているコーエンに近寄る
「……いつまで悶えてるんだ?次の追手が来るぞ、立てッ!」
冷たく言い放つとあたりを警戒しながら、脱出経路を確認する
コーエンは何とか息を整え、立ち上がった
「……行こう」
ふたりは路地裏の狭い通路を抜けていった
