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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第12章 メテオシュタイン


増設ブースターのパーツを切り離し、ダイアナのメテオシュタインは〈アガルム鉱山〉へ到着した


周囲はすでに連邦軍がクレーターの周りにモビルスーツ部隊を展開させている


ダイアナに〈キサンドリア〉の友軍から通信が入る


ネオ・ジオンの本軍が地球圏へ迎えるよう、連邦軍を足留めせよ、との確認だ


〈キサンドリア〉の量産機〈トラバント〉の部隊が一斉に襲い掛かる


航空機に無理やり腕を取り付けたような簡易的な兵器だ


それらが足の遅い連邦軍のジムⅢを翻弄する


さらに高速で飛び回るメテオシュタインが膠着した戦場を煽るように陽動していく


2極化する戦場を掻き乱すメテオシュタイン


クレーターの周りをわらわらと広く展開していくキサンドリアのトラバント部隊



それを月面上の連邦軍ジムⅢたちが迎撃していく


次々と撃墜されていくトラバント


そこに高速で飛び交う試作機メテオシュタイン


トラバント攻撃に油断して陰から飛び出ているジムⅢを狙ってメテオシュタインが空から迎え撃っていく


だがそれも長くは続かない


動き回らなければ、今度はメテオシュタインが格好の標的となってしまう


とにかくダイアナは動き回らなければいけない


集中力が徐々に落ちていく


敵の攻撃を当たりはしないものの、だんだんかすめていく回数が増えていく


歯ぎしりをしながらダイアナはグリップを握る


本来二人乗りの機体をひとりで操作していく


機体のコントロール、攻撃体勢、回避行動、機体制御


超人的なスピードでこなしていく


しかし、それも限界が近い


常人より高い反応速度とはいえ、機体も限界まできていた


〈……こ、こんなところでッ!?〉


かつてのエースパイロットと呼ばれていたダイアナでもこのような消耗戦には苛立ちが隠せなかった



なんとか後続の支援部隊が駆けつけたとき、ダイアナはすっかり疲弊しきってしまっていた


支援部隊が前線に出張り、メテオシュタインは一時的に友軍の補給基地に退いた


格納庫は騒然とした状況だ


ダイアナはコックピットシートから降り立つと立っていられなくなってしまった


よろけたところをメカニックマンに支えられる


「アンタ邪魔だよッ!休むなら向こうへ行ってなッ!」

ダイアナはそのまま意識を失ってしまった…


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