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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第12章 メテオシュタイン


目が覚めたとき、自分はまだ格納庫近くの廊下のソファーに横にさせられていたことに気付いた


どれくらいの時間が経ったのだろう


壁の向こうではまだ激しい喧騒のようなので戦闘は終わってはいないらしい


だが、身体が鉛のように重たい


もともとベストコンディションの状態ではなかった


身体を酷使してピークのタイミングで緊急出動だったのだから


そして常人からかけ離れた操作の連続だ


神経をすり減らしていて当然だ


かろうじてソファーから立ち上がることは出来たが、再搭乗は難しいことが自分でもわかった


ダイアナは力なく廊下を抜け、格納庫を背にして建物から離れていった


〈今の私にはここに居場所が無い〉

〈戦えてこその存在意義なら、戦えなくなれば邪魔なだけなのだ〉


ダイアナは精神的にも肉体的にも限界だった


格納庫から離れるとここが月面の鉱山都市の地下倉庫なのだと改めて認識する


隣の建物も向かいの建物もスタッフが慌ただしく走り回っている


おそらくここも何かしらの倉庫なのだろうが、キサンドリアに所属している企業なのだろう

倉庫を提供しているようだ


倉庫から離れて職員専用の駐車場あたりまで歩いていると、ふと視線の先に子どもたちの姿が見えた



男の子と女の子がふたり、手を繋いで走っている


女の子のほうは子供のようだが、男の子のほうは若くは見えたが青年なのかもしれない


ぼんやり視線が釘付けになる


〈……あれ?〉


〈なんだろう…?〉


〈あの女の子……どこかで会ったことがある?〉


〈いやいや、こんな辺境の鉱山都市に知り合いなんて居るものか〉


ダイアナは遠くの通路を走っている2人をじっと見届けていた



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