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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第2章 複座タンデム機の訓練

その日、スコットがシャワールームから出ると更衣室の前でヴァレンティアが陣取っていた


「どうしたの、ヴァレリー?」


「スコッティ、ちょっと付き合いなさいよ」


スコットはやれやれと言った表情をしてヴァレンティアの後ろをついて歩くのだった


今日のヴァレンティア・ヴァレンティンの私服は身体のラインがクッキリと出るようなストレッチ素材のシルエットだ


女性の中でも体格の良いほうのヴァレンティアなので全身から自己主張の強さが伝わってくる


揺れるヒップラインを注視してしまい焦ってスコットは目をそらす


大きなお尻の張りを隠そうともしないヴァレンティアは異性の目など気にも留めていなさそうだ


正確な年齢はスコットも知らないが、おそらく4つ、6つ程度の差だろう



テストパイロットの先輩ということもあり、スコットは姉のように思っていた


わがままでマイペースなアネゴ肌は振り返りもせず社の敷地を出ていく


今日の訓練がうまく立ち回れずかなり苛立っているようで、道中まったく話すことなく歩いていく


中層の居住区を抜けていくと、小綺麗な建築物に入っていく


「?」


スコットはほとんど来たことがないブロックだ


アパート?ヴァレリーは社宅や寮暮らしじゃなかったのだろうか


セキュリティの番号をポチポチと押して彼女は扉に吸い込まれた


スコットも慌てて後を追う


共有廊下を抜けて、ある部屋のドアを開けた


「し、失礼します……」


スコットもドアに入っていく


中は白を基調としたシンプルで奇麗な部屋になっている


あまり華美なものが無い


必要最低限といった具合いだ


キッチンからアルコールの缶を2つ持ってくるとスコットに一本を差し出した


ふたりは一気に飲み干した


心地よい刺激と湧き上がる血の巡り


脳天に来る


空いた缶をテーブルに置くとヴァレンティアはスコットのほうへ向き直った


「……イヤならいいのよ、出てっても」


気の強いアネゴ風を吹かす


「……別に……イヤじゃないよ」


スコットが言い終わるとヴァレンティアは彼の首の後ろに手を回し自分から積極的にスコットの唇を奪った


野獣のような勢いをスコットはしっかり受け止める


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