月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第14章 ビデオ・ログ
キアラを医療カプセルに入れてクレアが付き添ってくれることになり、スコットはコントロールルームへ戻った
ストームを操縦している〈新たなキアラ〉は入室したすごのほうを振り向くこと無く操作をしている
スコットは不思議だった
眠りから覚めたばかりであろう少女が、はじめから見てきたかのように無言で操作している
「キミたちテレパシーか何かで繋がってたりするのかい?」
少女はチラリとスコットを見やると、再びパネルを見つめた
「そんなものは無い
だがこうなることは初めから決まっていた」
「そうなのか?
なら、なぜ初めからそうしなかった?
初めから地球に行けば良かったじゃないか」
「この〈ストーム〉は眠っていた
まだ起きるときでは無かっただけだ
〈ストーム〉が眠っているあいだも
わたしたちが代るがわる面倒を見てきた
これは私達の居場所だからな
だが〈ストーム〉が目ざめた以上、届けなくては!〈オリジナル〉の元へ」
「オリジナルに渡したあと、キミたちはどうするんだ?別々の人生を歩むのかい?」
「そんなことはわからない
それより無事に届けられるかも確証が無い
画面を見てみろ、連邦軍とネオ・ジオンが一触即発のようだ
もう少しで小惑星が地球の衛星軌道にたどりつく、我々も砕かれた岩片のフリをして位置を調整する」
「あとどれくらい?」
「半日ほどだな、マスドライバーで射出されていたから良かったものの、岩が噴射するわけにはいかないからな、これ以上加速は出来ない」
「そうか、ところで代るがわるみんなで守ってきたんだろ?皆と話すこともあるのかい?
一緒に食事をするとか、さ」
「言葉通り、代るがわるだ
ひとりづつ起きて、状況を確認する
ルーティンな作業だからひとりでじゅうぶんなんだ
ひと通り済ませば、次に交代する」
「それをずっと?外部とも連絡せず
この隔離された中だけで?」
「いや、わたしたちだけではない
協力者も居る
定期的に様子を見に来ていた」
「キミたちを生み出した人たちってこと?」
スコットは少女たちがどこから来たのか
気になっていた