月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第15章 大気圏
ビームライフルの雨!
とっさにかわすギラ・ドーガ!
「あ、危なかったッ!ギリギリかわせたッ!」
チャーリーは安堵したものの、内心は諦めかけていた
小惑星アクシズを守るぺく、宇宙空間で戦ってはみるもののそれは“運”でしかなかった
いくらモビルスーツの操縦を仕事にしているからといって、彼は兵士でないのだ
アナハイム内のテストパイロット、
しょせん“運転手さん”に過ぎない事が身にしみる
民衆レベルのジオン支援組織〈キサンドリア〉に参加していたのが運の尽き
もう、戻れないところに自分が居た
「ちくしょう!
ちくしょう!
ちくしょう!
しんじまう!しんじまう!
こんなところに居たらしんじまうよッ!」
チャーリーは諦めない敵、連邦軍のジェガンを振り切るため、宇宙を漂う巨大なデブリを見つけ、逃げ込んだ
巨大なデブリは岩石だった
「ちょうどいいや、戦闘がおさまるまでここで耐えよう」
ゴツゴツした岩塊の表面に大きなクラック〈裂け目〉に無理やり機体を沈めようとしている
「ダイアナさん大丈夫かなぁ、
まぁ、操縦は天才的だし、
なんてたって“戦場経験”があるからなぁ、
俺みたいな底辺パイロットと違って優秀な姫だからなぁ」
チャーリーのギラ・ドーガは身動きがとれないが、機体の熱反応は騙し通せるし、固定砲座のように攻撃もできるだろう
ただし、目視で見つかったら一巻の終わりだ
狙撃されたらかわせないだろう
それでも360°全方向を気にせず、前方だけを意識すれば良かったので、小心なチャーリーには都合が良かった
ほっとひと息ついた
ダイアナの機体を探すが、戦闘宙域ではミノフスキー粒子の干渉が濃すぎて索敵は難しい
チャーリーは出撃前に格納庫でのダイアナとのやりとりを思い出していた……