
月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第15章 大気圏
そんな出撃前の事を思い出していると、チャーリーのギラ・ドーガから見える距離に何者かが急接近してきた!
岩塊まわりを周回している
〈やべぇよ、やべぇよ、見つかっちまうよ
こちらは身動きできないんだ
見つかったら終わりだぁ
もう撃ちまくるしかねぇよぉ〉
チャーリーは半分諦めかけ、半分やけになっていた
接近してくる機体
〈なんだ……? ジェガンじゃないし、ギラ・ドーガでも無いぞ?〉
その機体は猛スピードというよりは、哨戒するかのようなゆったりした速度だ
〈? なんだろう?
俺を探しているのか?〉
チャーリーは警戒し、ビームライフルのトリガーに指をかける
いつでも撃てる態勢で待機する
近くまでやって来た
見知らぬ機体
連邦軍系統の意匠に近い
直線を多用している
曲線が多いジオン系とは趣きが違うように思える
だがジェガンよりも華奢だし、大きさも小型だ
〈あれ? アイツ何か違うなぁ〉
チャーリーが注視していると、もうひとつ別の機体が接近してきた!
ジェガン!
連邦軍のモビルスーツ、ジェガンが謎の機体に攻撃を始めた!
〈ジェガンが撃ってきた!
と言うことはアイツはネオ・ジオン側なのか?
いや、そんなわけねぇ
識別コードも無い!〉
ジェガンはライフルを波状攻撃しながら右へ左へと機体を揺らし、狙われないように急接近してきた!
未確認機は慌てること無く、その場を難なくかわしていく
その動きは軽快だ
ストップ&ゴーにメリハリがあり、単一的ではない
次の動き、次の予測が相手にわかりにくい
これではジェガンも狙いにくいだろう
がっガッガッ、と細かい動作で交わした直後、急発進して距離を詰めては、さっと身をひるがえして、そのまま別方向へ向きを変えて飛んでいく
〈なんなんだ、アイツ!!!
敵を目の前にして応戦するわけでもなく、わざわざ目の前まで近づいといて、そのまま放ったらかして逃げちまった???
まるで敵の目の前でダンスしに行ったみたいだ
こんな激しい戦場で……〉
困惑した様子のジェガン
追いかけようとする様子だったが、すでに未確認機は去ってしまっていた
代わりに
岩塊の隙間に隠れていたチャーリーのギラ・ドーガが見つかった!!!!
〈…やべえッ!!!〉
