月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第15章 大気圏
閉じ籠もって30分、
コックピット内の温度はかなり上昇した
額から汗の雫がポタポタ落ちる
汗をかくと水分が失われる……、とコーエンは心配になる
長い待機の時間、
無言だったふたりも言葉を発し始める
「コーエン、アンタがマーティン小隊に入る前からチャームフューリーの開発は始まっていたの
その頃からテスト飛行や分離テストを繰り返していたのよね
何度目かのテストのとき、たまたま居合わせたアクシズ軍の残党と遭遇したことがあってね、
たぷんあのときからずっとこのチャームフューリーをつけ狙っていたのよ
きっとドーベンからドーガに乗り換えたんでしょうね、機体が違うから気付かなかったわ……」
「そんな頃から……?
どうしてそこまで執着するんでしょうか?」
「そこまではわからないわ……
でも残党ってね、成果が欲しいからわかりやすい戦利品を求めがちなのよ、きっと」
「まぁ確かにコイツは目立ちますからね
ボクもこの機体に乗れたときは嬉しかったですもん、他に無いタイプですし!」
コーエンが明るく言うので、キャロラインもつられて笑った
「でもしょせんは試作品よ、このコが正式採用されることは無いわ……
前線突撃タイプの後継機が既に戦線で活躍しているわ」
コーエンは気に入っていたが、本機が制式採用されないと知ってガッカリした
「ふふふ、そんなに気落ちしないで、コーエン
わたしたちにはとっても素晴らしい愛機なんだからッ!」
「もちろんですッッ!!」
ふたりは腕を伸ばして、拳を突き合わせた