月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第16章 ドミニク隊
サフィーネは隊長機とのペアを離れ単独で調査に出た
巨大な岩石の小惑星までチャームフューリーを追い詰めたものの、4機で取り囲んでもまだ成果を得ていない
本来のチームの役割で言えばサフィーネが先陣をきって戦場を切り開いていく役目なだけに、自分が役割を果たしていないような焦りがあった
サフィーネはドミニク隊長の寵愛を受けていた
先日の月面アガルタでの戦闘でも一番の撃墜数をほこり、隊長ドミニクからの褒美を得ていたところなのだ
色白で細身のサフィーネは女が振り返るほどの整った美しさで、男からは煙たがられ、女からは独占の扱いを求められる
女には不自由しなかったが、さして執着するようなものでも無かった、
簡単に手に入るものになんの興味も無かったのだ
初めてドミニク部隊に配属され、部隊の仲間がドミニクの肉体を得ていたとき、彼は不思議だった
“あのような年配の巨漢の女のどこがいいのだ?
美しい女ならいくらでも手に入る俺からすれば、あのような褒美は褒美とは言えない
さっさと実績をあげてこの部隊から抜け出してやろう”
ぐらいの気持ちで部隊に残っていた
ある月面の戦闘で未知の敵と遭遇した
最初に見つけたのはサフィーネだった
未確認の機体、実験機だろう
連邦軍の意匠を持った機体はこちらをあざ笑うかのように挑発してきたのだ
サフィーネは苛立ちながらも冷静に敵を追い詰めた
だが、追い詰めた機体は目の前で分離し2機となって反撃してきた
偶然居合わせた僚機が撹乱し難を逃れることが出来たが、その僚機は無惨な最期を迎えてしまった
チャームフューリー部隊との因縁の始まりだった
僚機を失ったとは言え、間近に捉えた画像データや実戦経験、そして生還し、敵に一矢報いたことにより、その日の夜初めてドミニクの褒美を得たのだった
豊満で醜く太った身体のように思えたが、他の女には無い官能の世界に魅了されてしまった
その声が、その肉体が、すべてが男を奮わせていく
まるで悪魔に魅入られたかのように、ドミニクもサフィーネを執拗に凌辱していく
それから何度かの褒美を重ねるとサフィーネはドミニクの虜になっていた
“あの機体を落として、今夜も姐さんと楽しませてもらうぞ!”
サフィーネは岩塊すれすれを凄まじいスピードで駆け抜けていった