テキストサイズ

月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第16章 ドミニク隊


戦いを終えた2体のGフューリーは戦意喪失したギラ・ドーガにはとどめをささずその場を離れた


「スコット!よく来てくれました!
 キアラは? キアラは無事ですか?」


「ああ、間一髪だったな!もう間に合わないかと思ったよ!
 キアラはいま医療カプセルに入ってる
 絶対安静の状況だ……」


「……アナタ、よくGフューリーを操縦できたわね?いくら正規パイロットでもそんな数時間で……」


スコットはディスプレイに表示されたキャロラインの顔を見て“見知らぬ女だな”と思ったが、コーエンと行動をともにしているのならば敵ではあるまいと判断した



「俺は正規パイロットじゃない、アナハイムの試験機専門のテストパイロットだ、ユニバーサル規格ならなんでも動かす
 ……といってもコイツの中に組み込まれていたシミュレーションモードがあったから出来ただけだ、キミたちのように航空機体と連携させた行動までは取れないよ?」


コーエンは黙って聞いていたが、果たしてただのテストパイロットがこのような極端なバランスに調整されたモビルスーツを簡単に操縦出来るとは思えなかった


「……ところでキミたちは……キアラはどこへ向かおうとしているんですか?
 以前、地球に目的があると言っていましたが…、まさか本当に??」


キャロラインはあっ!と口を挟んだ


「……それで衛星軌道上に来たの??

 アクシズの落下作戦に乗じて??

 でも、どうやって……??」



スコットは彼らにはこの計画を話してもいいのだろうと確信した

なんせ瀕死のキアラを救ってくれた、数少ない味方なのだから


「僕たちの船〈ストーム〉はここさ!
 この岩石の塊、これがそうだよ!」


「え?」


コーエンはまさかと思った


これは船どころの大きさではない
小惑星ほどの大きさがあるだろう


そのときキャロラインは頭上の宇宙空間の異変に気が付いた


頭上には青く輝く巨大な地球


そして手前には激戦区となっている小惑星アクシズの姿が…


だがアクシズの様子が変だ
全体を幾度と振動させ至るところから大規模な爆発が見える


キャロラインは信じられない


巨大な小惑星アクシズがまさに崩壊しようとしていたのだ


「……アクシズが……割れるッッ!?」



それは連邦軍のロンド・ベル隊の決死の作戦の結果であった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ