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自室に帰宅したクレア


一人にしておけないと、スコットを伴っていた


「着替えは置いておくから
　熱いシャワーを浴びるのよ」


クレアは脱衣場から離れた


〈旦那が留守のときに男を部屋に連れ込むなんて〉


クレアは自分でも動揺していた


クレアの夫は商社マン

もちろんアナハイム社ゆかりの仕事だ


グラナダ市とフォン・ブラウン市を行ったり来たりしている


その大半は出張ばかりで家を空けたままが定番となっていた


夫婦ふたりだけの部屋とは言え、一人で過ごすには広い空間だ


今週は旦那が帰ってくることは無いが、無断で男性を招き入れたと知れたら激怒するでしょうね


クレアは深いため息をつきながら簡単な食事の用意をする


なかなかシャワーから出てこないスコットが心配になってきた


「スコッティ？大丈夫？」


返事がない


シャワーの音だけがする


まさか



クレアはサァーと血の気が引いた


「スコッティ！開けるわよ！」


慌てて扉を開けると、シャワーを出しっぱなしにしたスコットが浴室の床に座り込んでいる


溺れたり、怪我をしたわけでは無さそうだ


自傷行為でもしていたのかと早とちりしてしまった


「スコッティ、さぁ出ましょう、肩を貸すわ」


クレアの服もずぶ濡れになってしまった


脱衣場でスコットを立たせたままにして身体を拭いてやる


スコットは俯向いたまま顔を上げようとしない


男の身体をまじまじと見るのは久しぶりだ


旦那との行為もほとんど無い


異性というより、弟のように思える


異性を意識したわけではないが、さすがに下半身を拭いてやるときは意識せざるを得ない


拭き終わると新品の下着を用意してやる


「さぁ、足を上げて」


ようやく、服を着せ、リビングに移動し、遅い時間の夕食をとる


スコットは幾つかに口を付けたが、食べ切れずにほとんど残してしまった


ベッドを貸してやると、クレアは洗い物をしてから自分もシャワーを浴びる


何故か、念入りに洗ってしまう


寝巻き姿で寝室に戻ってきたものの、自分はどこで寝ようか考えてしまった


リビングのソファで眠ろうかとも思えたが、クレアも残業続きで相当疲れが溜まっていた


考えたすえ、スコットの隣に滑り込むように布団に入る


何も無いわ、きっと