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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第4章 クレアの癒やし

「クレア、こんなこと…、いいのかい?」


「貴方じゃなきゃ、部屋には入れないわよ」


「でもキミは結婚してるじゃないか」



「私とは、イヤ?」


「でも」


「イヤ?」


「イヤじゃないよ、嬉しいよ

 前から憧れてた」



「私も前から意識してたわ」


「でも、ダメだと思ってたから意識しないようにしてた……」



「あなたが求めてくれるのなら、私はあなたを受け入れるわ」



スコットは少し困惑した


既婚者から受け入れられるという事の意味がよくわからない



でも


この状況で、お互いに求めあっているのなら


今度はスコットのほうからキスをした



スコットからすれば憧れの女性とのキスが嬉しくない筈がない

だが今の状況では恋愛感情とは少し違うことに違和感がある


性欲を解消するかのようなヴァレンティアとの交わりとは違うのだ


今の情けない自分に優しく接してくれているクレアに申し訳ないように思ってしまう


キスは交わしたものの、どうしてもそこから先に進めなかった



またクレアはクレアでどのように包み込んであげたら最適なのか、わからない


抱きしめてやることにも、口吻を交わすことにも彼ならば抵抗はない


どうせ旦那とはすれ違いの生活でもあったので罪悪感も薄かった


スコッティならこのまま抱かれてもかまわない


そう思えはする


だが、心が閉ざされようとして苦しんでいる少年に対して、歳上の私がベッドに連れ込むなんて、彼を余計に苦しめたりしないか?


まるで枯れたような生活をしている私が、一方的な潤いを求めているだけのように見えないか?


クレアもそこからどうしたら良いのか、わからなかった


ただ嬉しかったのは自分がスコッティを気にかけていたように、彼も自分のことを気にかけてくれていたことは、正直嬉しかった


そのささいな気持ちだけで、クレアは何度もキスを交わすのだった


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