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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第5章 委員会

スコットの回答は続く


「…確かに自分とヴァレリーは親しい関係でした

 今回の試作機のテストパイロットのパートナーとして互いに切磋琢磨してきたつもりです

 その親しい同僚を失った

 被害者であるこちらが改善すべき項目など皆無です!」


進行役の眼光が冷たくスコットに突き刺さる


「…親しければそれだけ様々な感情が入り込むこともある……、意図的なプログラムではなくあくまでシステムエラー時の事故として、キミは目の前に居て随伴機からの攻撃を止められなかった

 どうして止められなかった?」


聞いてるだけでスコットは目の前の男を殴りつけてやろうか、と身体が震えた


「……どうしてだって?

 それはこちらが聞きたいですよ!

 どうして訓練施設にギラ・ドーガが現れた?

 どうして自分たちが攻撃を受けた?

 どうして突然、随伴機が暴走した?


 どうしてヴァレリーたちを失うことになったんですッ!?


 あそこの場所はいったいなんだったんです?


 彼らの部隊は何なんですかッ!?」



感情的に発言してしまうスコット


眼の前の男は動揺することもなく、覚めきった目でスコットを見据える



「……感情的になることはこの場では好ましくない、これは事故なのだから

 それより……キミはあの工場プラントで何か見たものはあるか?


 そう……何か、あの場所で行われている事を目撃したかね?」



「……何か? ギラ・ドーガの機体ではなく?」


「……テストパイロットのキミだから率直に言うが、ギラ・ドーガは我が社の開発・量産したモビルスーツだ

 連邦には報告していないがね

 それらは我が社の顧客からの依頼だ

 つまりはあそこの場所は我が社の顧客が秘密裏に使っていた場所なのだろう

 彼らから連絡を受けていたわけではないがね

 問題はなぜあの場所を選んだのか、と言う事なのだが……」



「……? あの場所にいったい何があるんです?」


「……」


男たちは皆が微動だにせず、沈黙を続けるのみであった


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