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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第5章 委員会

委員会はこれで終わった


部屋を出ようとしたとき、廊下で呼び止められた


あの席に居た格幅の良い制服姿の軍人だ



「スコット・イアン、ご苦労だったな

 もし、あとから何か思い出したような事があれば連絡が欲しいのだが…、お願い出来るか?」



「……何か、て何ですか?」



「あの工場プラントで見た事だよ 
 
 これで公式にはあの場所へは当分入り込むことが出来なくなるだろ?

 彼らがあそこで何をしていたのか、知りたい」



「……ボクには連邦軍に刃向かおうとする反乱分子や過激派の団体にしか思えませんが


 ジオンを支援する人たちが多いのは知っていますが、自分はそんな気にはなれないですし


 ただの反乱分子の軍事演習、彼らはこれから戦争でも始めようとしているみたいだ」



「……戦争はいつだって起こっている

 彼らもこれから紛争でも始めるのだろう

 月の裏側で、堂々と組織化されているぐらいだからな


 ……それだけならまだいいんだが……」



「……他に何があるって言うんです?

 あそこに秘密兵器でも隠しているとでも?」


男はピクリと視線を投げかける



「……何か、有ったかね?

 何を見た?」


「……」



スコットは背筋が凍った


このまま消されてしまうのだろうか



自分は何か蜘蛛の巣に絡んだような、そんな感覚になる



もがいても、もがいても

絡みついてくる


言葉を何か続けないと……



何も見てなくても、処分されかねない



「あ、アルパ・アジールとかいう認識機体は見かけました……

 巨大な、モビルアーマー?

 あれが秘密の決戦兵器?」



「アルパ・アジールもアナハイム製だ

 確かに拠点制圧兵器ではあるがな


 まぁ、何か思い出したら連絡をくれ」



男は名刺を取り出しスコットの胸元のポケットに差し込んで立ち去ってしまった



どうやらやり過ごせたらしい


スコットが確信したのは、皆があそこの場所が何か、知っているような素振りに思えた


それを見たか見たか?と確認しているようだ



あの廃棄された工場プラントにいったい何があるのだろうか


委員会を終えてスコットも建物を離れた


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