月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第1章 月面基地グラナダのテストパイロット
「お?噂をすれば何とやら…!スコット、ちょっと席を外すぜ?」
チャーリー・ベナンテはウインクをして寮の出口へ向かった
スコットがその先に目をやると納得がいった
若い女性士官が立っている
開発チーム主任、ダイアナ・ギルスベルゲンだ
彼らテストパイロットチームのリーダーとなる
チャーリーは上司ダイアナにぞっこんなのだ
それも仕方がない
職場にはオトコばかりなのだ
若い男性陣は皆ダイアナに憧れていた
ただひとり、スコットを除いて
スコットは底辺の暮らしが当たり前だったためか、色恋ゴトに頭をまわす余裕が無かった
“ああいうのはオレとは無縁の世界だ”とまで思っていた
それよりも……
スコットは今日の訓練でのデータ取りに満足して、ちょっとした達成感を味わっていた
あの機体では過去最高の記録になったハズだ
半年前のテスト機でもハイスコアの記録を出したので幹部たちからも自分は強くアピール出来たに違いない
スコットは今よりさらにのし上がって行き、底辺の暮らしから脱出することだけを考えている
いずれは月面都市でのアッパーグレード【上層階】に、
いや
月から飛び出して、宇宙のどこにだって自由に飛び立ててやる
スコットは二度と最下層での暮らしに戻りたくない焦りが根底にあった
今日の訓練の結果はスコットにとって未来への第一歩に繋がるのだろう、と満足しているのだった
チャーリー・ベナンテはウインクをして寮の出口へ向かった
スコットがその先に目をやると納得がいった
若い女性士官が立っている
開発チーム主任、ダイアナ・ギルスベルゲンだ
彼らテストパイロットチームのリーダーとなる
チャーリーは上司ダイアナにぞっこんなのだ
それも仕方がない
職場にはオトコばかりなのだ
若い男性陣は皆ダイアナに憧れていた
ただひとり、スコットを除いて
スコットは底辺の暮らしが当たり前だったためか、色恋ゴトに頭をまわす余裕が無かった
“ああいうのはオレとは無縁の世界だ”とまで思っていた
それよりも……
スコットは今日の訓練でのデータ取りに満足して、ちょっとした達成感を味わっていた
あの機体では過去最高の記録になったハズだ
半年前のテスト機でもハイスコアの記録を出したので幹部たちからも自分は強くアピール出来たに違いない
スコットは今よりさらにのし上がって行き、底辺の暮らしから脱出することだけを考えている
いずれは月面都市でのアッパーグレード【上層階】に、
いや
月から飛び出して、宇宙のどこにだって自由に飛び立ててやる
スコットは二度と最下層での暮らしに戻りたくない焦りが根底にあった
今日の訓練の結果はスコットにとって未来への第一歩に繋がるのだろう、と満足しているのだった