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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第7章 キサンドリアの反乱

「お母さん…?」


「偶然…?  だよね…?」


「でもスコッティの母ちゃんも…そのフランケン研究所に居てたんだろ?」


「フラナガン機関ッ!」


「同じ研究所の名前で、母親と同じ名前のコードネームって……、関係アリまくりじゃねーかッ!」


チャーリーは先程の幽霊船の子供たちの一件で恐怖心をなんとか消し去ろうと空元気に叫んだ


「…とにかくコックピットに急ごう!
 何が起ころうとしているのか、この目で確認したいんだ」



コックピットと思われるコントロールルーム、それは広いブリッジだった


「……やっぱり船じゃねーのか?
 たくさんのシートも配置されてるし…」


「でも中央にはやっぱり操縦席らしきものがあるわよ? なんなんでしょう、ここは?」


「フラナガン機関も、アナハイムも関わってるんだ、何かしらの大掛かりな兵器に決まってるさ
 人をころすための道具だ」


スコットは声を荒らげながら言い放った


自分もテストパイロットだが、母親も戦争の道具だったのだ

 自分たちが巻きこまれていた道具が、ここにまたひとつ

さらにこれは大きな兵器であり、多くの人の命を奪い取っていくのだろう


今までスラム街で育ち、その日の食べ物すら見つからない日々を幼い頃から経験してきた身からすれば、危険なテストパイロットで安定の衣食住を手に入れたことに違和感はなかった


だが、改めてこの場所に来て考えが変わっていく


自分がしてきた仕事は何だったんだろう


危険だがやり甲斐のある仕事だと思いこんでいたのに


結局それらは自分の手を離れていくと、何万人もの命を奪っていく兵器となる


それは自分だけでなく


過去に母親の世代から繰り返されて来たのだ


やりきれない


自分のしてきた事が虚しい


母親のしてきた事も虚しい


このような事を繰り返してきた人間が悔しい


スコットはこの広いブリッジ、専用の操縦席を眺め、苛立ちを隠せなかった


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