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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第9章 チャームフューリー部隊

洞窟はかなり大きくモビルスーツでも中に入れる巨大なものだった


肩、腰の照明を灯すが奥の方は見通せない


瞬時にコンピュータが地形をスキャンするが、近隣の配置のみで奥までは表示されない


モビルスーツ〈Gフューリー〉は洞窟の内部へ進む


「……こりゃ、デケェなぁ…」


「ああ、モビルスーツどころかモビルアーマーですら入れそうだ……」


「その〈カタストロフマシン〉てのもデカブツなんだろ?前もってデータが無いのは厄介だな

 捜し物がわからない物を探すなんてよ」


「まぁそう言うなよ、そんなバカでかいやつ
 見れば一発でわかるさ
 それより〈チャーム〉のほうはどうだ?」


「ああ、クレーターの縁に添わせて飛ばしてる

 もう少しでこの辺りの地形データを撮り終える筈だ」


モビルスーツは小刻みなスラスターを噴かせながら、浮かぶように奥へ進んでいく


どれくらい進んだろうか


あまりにゆっくり進んでいるので時間の感覚が狂っていく


5分だったようにも思えるが1時間くらい過ぎてしまったようにも思える


感覚神経が磨り減る


マティスはふとディスプレイの横に張り付けた小隊みんなの写真を眺める


まだこの小隊が少人数だった頃の写真だ


モビルスーツデッキで当時の小隊メンバーとメカニックマンたちが肩を組んで写っている


マーティン隊長、マティス本人に相棒のルーカス、そして紅一点の美少女キャロライン


この頃はまだコーエンの坊主も、物静かなロルフも居ない


キャロライン


かわいいキャロライン


つい、こないだまで生意気な小娘だったのに


いつの間にか綺麗になっちまって……


マティスはキャロラインに惚れていた


それはルーカスも気付いている


相棒は何も言わない


もしかしたら相棒も惚れているかもしれない


そりゃそうだ、あれだけの女、手に入れたくない奴なんて居ないさ


宝石のようなキャロライン


妖精のようなキャロライン


緊張感が続く洞窟の探索で、ふと感慨に更けていたマティス


それが命取りとなってしまった……


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