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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第9章 チャームフューリー部隊


「……おい!マティス!ヤバいぞッ!?

 出口が……ッ!?」



相棒ルーカスの声で後ろを振り返る


入ってきた洞窟の入口が見当たらない


前も後ろも漆黒の闇だ


「……どういうことだッ!?」


「ふ、塞がれたッ!?」



洞窟の入口近く、砂の中に埋もれていた巨大な〈カタストロフ級マシーン〉ストーム


その宇宙戦艦なみの巨大な姿を想定していなかった二人は敵の上を進みながら洞窟の奥まで侵入していったのだ


ストームの上を通り過ぎたあと、ゆっくり無音で浮上したストームはびったりと洞窟の出入り口を塞いでしまったのだ


「戻ろう!! ルーカス」


「待ち伏せだッ!?トラップがあるに違いない」


「じゃあ、どうする?」


「待て待て、外の〈チャーム〉を呼び戻すんだッ!外から仕掛ける

 コイツは無防備にもミノフスキー粒子を撒いてないッ? なんでだ?」



レーダーを撹乱させる粒子


接近戦を余儀なくされれば遠隔操作も敵わない


だが、なぜ撹乱させないのか?


それは


すでに彼らの眼の前にメガ粒子砲の砲塔が伸びていたからだった



あっ、


と声を出すまでもなく洞窟の中は一瞬の閃光


そして〈Gフューリー〉は蒸発した




〈ストーム〉のコックピットルームには数人の子供が席に着いていた


皆、人種こそ違うがまだ幼い女の子ばかりだ


黄色い髪、黒い髪、赤毛、青い眼、黒い眼、茶色の眼


それぞれはバラバラな人種のようだが、不思議なことに顔はみな同じように見える


「……なんだ、抵抗もしなかったね?」

「おもしろくないね」

「また潜るの?」

「潜っておかないと、また姉さんに怒られるよ」

「怒られるのはイヤだよ」

「わたしも」

「潜りましょう」



女の子たちは口々に語り、巨大な兵器は再び砂の中へ沈んでいった…



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