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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第9章 チャームフューリー部隊


プシュッッ!!


「……ッ!?」


マーティンは背後から肩を撃ち抜かれた!


消音銃だ


気付かなかった!


痛みに耐えながらマーティンも銃を抜く


だが、



振り返った瞬間、判断が躊躇してしまった


子供?


女の子?


一瞬、自分の娘の顔がよぎった


トリガーを引けなかった


倒れたマーティン


思わず肩を押さえる


だが少女は非情にも負傷した彼の肩を踏みつけた


「……ギャッ!!」


思わず唸り声を漏らしてしまう


少女は冷たい顔で見下ろす


「……おじさん、連邦軍だね

 向こうでお姉さんがモビルスーツを隠していた

港の外から来たみたいだから、ここの基地の人じゃないね?

 ここの人ならすぐに港へ行くだろうからさっ?

 て、ことは他所から来た人がコソコソしてるわけね?

 なにを調べに来たの?

 こんな田舎の鉱山ドームにさぁ?」


少女はひと通り自分勝手に話し終えると、マーティンの返事も待たずにもう一発、撃ち込んだ


ためらいもせず


「あ、ゴメン? 返事を待たずに撃っちゃった

 どうせ、何も答えないと思ってたから!」


マーティンは両肩を射抜かれた 


起き上がれない


この良くわからない状況を何とか打破したいが、今は部下のキャロラインが巻き込まれない為にはどうしたら良いのか?を考えていた…


「あ? 今一瞬目線を向こうに向けたね?

 ああ、お姉さんのほうか……

 安心して、お姉さんのほうもきっと
 もう〈終わってる〉と思うから!」


「なにッ? どういうことだッ!」


「おじさんとお姉さん、〈ストーム〉探しに来たんでしょ? わかっちゃうんだなぁ〜!

 ちょっと、まだジャマされたく無いんだよね」


マーティンはどうしてこの子供が秘密兵器カタストロフマシンの認識コードネームを知っているのだろう?と思った



「バイバイ、おじさん」


少女はマーティンの眉間を撃ち込んだ


ドサリと崩れ落ちるマーティンだった肉体


「寂しくないように、すぐにお姉さんもそっちに行くだろうからッ!」


少女は走り去ってしまった……



月の表面の砂礫がゆっくりマーティンの身体を包む


重力が小さな月面では倒れ込んだときの砂埃がすぐには落ちて来なかった…


ヘルメットからエアーが抜けていった

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