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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第9章 チャームフューリー部隊



コーエンはグリム区へ抜けるための歩道橋へ来た


上から人通りを確認する


狭い通路は露店がひしめき合っている



その露店通りはすごい人並みだ



〈あの中にまぎれてしまうとロルフとは合流できないな?〉



コーエンは上から全体を俯瞰できる場所へ移動して、ロルフの姿を探した



端末の位置情報も確認してみる



〈向こうの路地あたり、かな?〉



検討をつけてみる



そのまま観察し続けてみると



それらしき風貌の男が見える




〈あの男、ロルフか?〉

〈なんだい、あの格好?〉

〈あれ?狭い通路に入って行ったぞ?〉




〈なんだかやばそうだぞ?〉




コーエンは足早に階段を降りて行った




その階段の下で、片腕を押さえた苦悶の表情の女



〈……んん???〉

〈あれ、キャロラインさん?〉


〈何だか様子がおかしいぞ?〉




遠目で見ても、歩き方に力が無く、

顔が青ざめている



別行動をとっていた筈の仲間が


連絡もなくこちらの担当区画にやって来た、と言うことは


とてつもない緊急事態!




察したコーエンはロルフと合流するのを後回しにして、キャロラインを追って人混みを掻き分けた




このコーエンの判断により


彼は幸運にも、一命を取りとめていたことを知らない



もしロルフと合流していたのなら



間違いなく彼も命が無かったのだから……






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