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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第9章 チャームフューリー部隊

「す、すいません」


「いいって!ここは鉱山の街〈アガルム〉だ

 後ろめたい奴らも集まる街さ!

 それに……


 姉ちゃんに死なれたら、ウチの宿の評判が悪くなる、調査も入られるしな

 だから、しっかり自分で面倒みな!」



宿屋の親父はコーエンの背中をパァン!と叩いて階段を降りて行った



その後、差し入れの軽食を届けてくれたりもしてくれる



コーエンが話した〈サード・ルナ鉱山の父親〉が妙な共感を得てくれたのかもしれない



コーエンは与えられた緊急用の医療キットでかろうじてキャロラインの出血を止めることは出来た


差し入れの硬いブレッドを頬張りながらタブレット端末で確認していく


マーティン隊長のシグナルは数時間前から同じ位置のまま動いていない


それはロルフも同じだ


シグナルは発しているが、動いていない



さらに先輩コンビのマティスとルーカスに至ってはシグナルそのものが消失していた



モビルスーツごと蒸発したということか



コーエンは小隊が既に破綻してしまったことを悟った



〈まずは生き延びなければ……!


何者かがこの部隊を狙っている


確実にチームメイトが追い詰められている


まずは身を隠して、キャロラインさんの意識が戻るのを待とう


それでこの状況を打開しなければ!〉



コーエンは夢にうなされているキャロラインの汗を拭いてやることしか出来なかった……



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