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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第9章 チャームフューリー部隊



翌朝


コーエンは女性の声で何度も名前を呼ばれて目が覚めた


「…コーエン、コーエン!コーエンってば」


「……んん……キャロラインさん?」



「コーエン!重いって!」



「……え?」



コーエンはキャロラインの看病をしながら椅子に座ったまま眠ってしまっていたらしい

そのままキャロラインの上半身に伏せたようになってしまっていた



「わぁっ!す、スイマセン!!

 傷口、大丈夫ですかッ!?」


「大丈夫なわけないじゃない!腕を撃たれたのよ!
 それより、ここは……?
 キミが止血してくれたの?」


コーエンが布団をめくって腕の包帯を確かめる
どうやら止血はうまくいっていたようだ
傷口は塞いだままで安心した


「覚えていませんか?キャロラインさんは居住区をひとりで歩いていたんですよ?
 ここは鉱山ブロックの宿の中です」


「……鉱山ブロック?」



キャロラインは記憶が曖昧なようだ


「キャロラインさんはマーティン隊長と居住区のほうへ調査に向かった筈です
 どうされたのか覚えていますか?」


「……マーティン?」


キャロラインは全身に寒気が襲ってくる



月の表面の荒れた大地に横たわる男の姿


機密服のヘルメットの中の顔は…

マーティン隊長だった


眉間を撃ち抜かれていた



「……はぁッ!!」


キャロラインは顔を目を見開く


そして激しく嗚咽を繰り返していた



その様子でコーエンには隊長が既に居なくなっていることを悟ったのだった



「……こちらも繁華街の雑踏の中でロルフさんが襲撃されました
 ボクは距離があったので敵の姿が見えませんでしたが…
 ちょうど同時にさまよっているキャロラインさんを見つけて…」


「……ふぅ、ふぅ……、敵の姿は……

 信じられないかもしれないけど〈子供〉よ
 女の子の姿をしてるわ

 おそらくモビルスーツを隠しているときから見られていたのね……

 きっとロルフもつけられていたんだわ

 貴方たちは別々に行動していたの?」



「……ええ、ロルフさんが繁華街の表通りを、
 ボクが裏通りに別れていて…

 ロルフさんと合流する直前に…」


「……そう……キミはラッキーだったね…」


キャロラインのため息は深かった……


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