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月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第9章 チャームフューリー部隊


「……わたし、どんな姿?
 身体を動かせないわ…」


「ええ、まだ起き上がれないですよ
 右肩を撃たれて、左腕も撃たれています 

 実弾ではなく〈ブラスター〉光線銃で」



「身体を起こしてくれる?」



コーエンはベッドのヘッドレスト側にクッションを足して、キャロラインの身体を支えてやる


「痛みますか?まだ無理はしないで」


キャロラインが左右の腕を見下ろす


肩と腕が包帯を巻かれ、Tシャツの袖が破かれている

これはコーエンが治療のために破ったのだろう


「キャロラインさん、食べられますか?」


コーエンはテーブルから硬いブレッドを手にして半分に千切ると両手の不自由なキャロラインのために口元まで持ってやった


まだ少し大きいようなので、さらに半分に千切って口にふくませてやる


「スープもありますからね」


キャロラインはとりあえず体力回復を優先させた


〈今の自分は食事さえひとりで摂れない〉


落ち込んだヨウスのキャロラインは痛々しかった  

無言のまま口元まで与えられた食事を黙々ととっていく


「キャロラインさん、食事が終わったらボクは少し買い出しをしてきます
 …といっても宿からは出れませんから、宿屋の主人に頼もうと思うのですが
 何か必要なもの、ありますか?」


「……シャワーを浴びたい
 それに着替えも……汗がすごいの」


「わかりました」


キャロラインにスプーンを近付けて、最後のひとすすりをしてやる

コーエンは食器を持って廊下に出ていった


外の様子は無音だ


古い部屋の造りの割に頑丈なようだ


歩いていったコーエンの足音すら聞こえない


「隠れ家にはちょうどいいわね……」



キャロラインは当分ここで身を隠すしかないと思ったのだった……


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