月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第9章 チャームフューリー部隊
おずおずと頼り無さげにコーエンが正面にまわってきた
普段なら男の前に肌をさらすのは恥ずかしいものだが、まだ少年のコーエンの反応が可愛らしく感じる
遠慮がちではあるが、彼なりに意を決して正面からキャロラインを見据える
豊かな胸が堂々と鎮座している
〈……綺麗だ〉
コーエンは正直に思った
キャロラインに見透かされたように問いかけがある
「……女のカラダを見るのが初めてってんけでもないでしょ?」
「そりゃあ、まぁ……でも久しぶりです」
「……感想は?」
「……はい、キレイです」
「……よろしい、じゃあ拭いてくれる?」
コーエンは首筋から熱いタオルで拭いていく
デコルテ、腕、ときて胸元へ……
他の部位と異なり、すぅっとタオルを滑らせるだけでは拭ききれない
「……失礼します」
コーエンは乳房を片手で持ち上げて、その隙にタオルを滑らせた
さすがにキャロラインも堂々としながらも、少しばかり羞恥心が訪れる
少年の顔をのぞくと、顔を真っ赤にしながらも一生懸命尽くしてくれている
笑っては申し訳ないな
「……しっかり拭き取って……
汗で皮が密着したり、汗疹になったりしちゃうから……」
「は、はい!」
コーエンはドキドキしながらも何とか自制して、焦りをキャロラインに伝わらないよう努めた
タブレット端末はあいかわらず「キサンドリアの反乱」を報道していた
画面は当初の首謀者だけではなく、戦闘に参加した他のメンバーも映しだされている
テストパイロットのエースクラス、ダイアナ・ギルスベルゲンが釈放されている様子が映っている
反乱分子ではなく、あくまで行き過ぎたネオ・ジオンへの牽制をして被害を食い止めたパイロットとして扱われているようだ
キャロラインは乳房を拭き上げられながら、
〈これでキサンドリアもひとつの勢力となったな…
連邦軍とネオ・ジオン、そして派閥を抜けた団体キサンドリアに……!〉