月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第9章 チャームフューリー部隊
作業がひと通り終わり、服を着せてやる
コーエンがチラリとキャロラインの顔を覗き込むと上気したあとの放心したような表情をしている
拭いてやってるあいだじゅう、ずっと苦悶の表情のまま、喘いでいたのだから
〈チェッ!ボクはマスターベーション用の愛玩道具じゃないぞッ!〉
浴室で洗濯物を干しながら、コーエンはなんともやり切れない不満と
ひと仕事を終えた達成感で脱力していた
そのままコーヒーを淹れて、ようやく放心状態から抜け出したキャロラインにマグカップを渡す
不自由な両手を挟むようにして器用にコーヒーを喉に落とし込んでいく
「落ち着きましたか」
「うん、アリガト……ちょっと夢中になっちゃった」
キャロラインは申し訳無さそうに苦笑いをした
「……ところで、これからどうします?
Gフューリーは無事なんですかね?」
「どうだろう?砂に埋めてシート掛けもしてセンサーも設置はしてあったケドね…」
キャロラインは話しをしながら、脳裏には襲撃されたときの光景が浮かんでいた
きっと襲撃者は機体を隠していたときから狙っていただろう
それならば、機体をそのまま放置してはいないだろう
「コーエンたちのほうのGフューリーはどうなの?」
「うーん、こちらも古い使われていない倉庫の裏手に擬装はしておきましたけど…
確認しに行くにはリスクがありそうですね」
キャロラインは襲撃者を思い出す
「だ、ダメよ!当分は隠れていないとッ!」
「そうですよね……、ボクもそのほうが良いかと思います
今更のこのこと出ていったら狙って下さいって言ってるようなものですよね」
「どちらにせよ報告が途絶えたら本隊も動くでしょう、それまでは息を潜めましょう」
「ターゲットのテロリスト2人にしては手際がいいですよね?……また別の敵対者のような気もするんですが」
「そうね、今は圧倒的にこちらが不利なのよ
下手に動くと敵の思うツボ
相手を焦らしてこちらはそれまで体勢を立て直すのよ」
「ええ、それまでにはキャロラインさんの身体も自由が戻ってますよ」
「あら?私の世話がイヤなの?」
コーエンは露骨にイヤな表情をさせた