テキストサイズ

月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜

第10章 ビクトリア


「お帰りクレア、早かったんだね
 どうしたの、その荷物?」


「昔の友だちを頼ったんだけど会えなかったの
 また時間をおいて出掛けるわ

 これね、宿屋のご主人に頼まれ事があったのよ、そのお礼にね
 あら、キアラは?」



「さっき出掛けた、街の様子を見てくるって
 ボクらは顔を晒せないだろ?」


「そおね、私も気をつけなきゃ」


スコットからマグカップを受け取ったクレアは喉を潤してから彼に抱きついた


「……クレア?」


「ふたりっきりよ?キアラは出掛けたばかりなんでしょ?」


「そ、そうだけど……」



「人妻に手を出したのよ、責任とってね」


クレアは服を脱ぎ散らかせ、スコットに覆いかぶさった



スコットのこれまでの相手はあまり積極的な女性は居なかった 

地下生活ときは同年代ばかりだったかもしれない


アナハイムで働きだしてからクレアといい、ヴァレンティアといい、みな積極的な女性ばかりだ


これがオトナの女性なんだな、とスコットは思った




その頃



街の繁華街では奇妙な若いカップルが鉱山の男たちに囲まれながらこれまた子供っぽいカラフルな炭酸ジュースを飲んでいた


オルタナティブ・キアラとコーエン・ゾーフェン


この奇妙な組み合わせとなったのは本当に少し前


キアラが街の様子をうかがいに宿の外に出た時、階段の踊り場でちょうど外に出ようとしていたコーエンと遭遇したのだった



「キミ、ここの宿の子?」


最初に話しかけてきたのはコーエンだった


「……違うわ、アナタと同じ宿泊客よ?」


コーエンはテロリスト扱いされているスコットとクレアの顔写真は見ていたので、まさかこんな小さな子供が彼らの同伴者だとは思わなかった


「そっか、この近くに何があるのか散策しようと思っていたんだ、ごめんね」


「わたしもよくわからないからブラブラしようと思っていたの、一緒に行く?」


キアラのほうも、まさかこの若い少年が連邦軍の追跡者だとは思わなかった


この奇妙なふたりは揃って宿を出ていった…


ストーリーメニュー

TOPTOPへ