月のウサギは青い星の瞳をしているのか 〜キサンドリアの反乱〜
第10章 ビクトリア
「はい、どうぞ!コーヒーよ」
ビクトリア・ニコラビエナはクレア・サンデリアからマグカップを手渡された
「アリガト、なかなか見ごたえのあるショーだったな! あのおとなしいお嬢さま育ちのクレアがあんな大胆なことするんだな、なかなか興味深い再会だ」
ビクトリアはこれみよがしに楽しんでいる
「学生のときとは違うわ!それに人妻ですから」
「おいおい、相手が違うだろーが!
一体何があったんだ?浮気を楽しむような性格でも無いだろうに?それも歳の離れた若い男の子をたらしこんでさ!
それにテロリスト容疑のニュースを見たときは噴き出したぞ?
大手企業のアナハイムに勤めていて、どうしてこんなことになるんだ?
よく月の裏側のグラナダからこの〈アガルム〉の鉱山ドームまで連邦軍に見つからずに来れたもんだな?
アンタ、魔法使いにでもなったのか?」
ビクトリアは矢継ぎ早に質問攻めだ
学生時代の旧友との再会なのだ、聞きたいことは山ほどあるのだ
キアラも二段ベッドの上から茶化し始める
「いいぞ、ビッキー!
ついでに何故ふたりきりになったらすぐにサカッてしまうのか、訊いてくれ!」
「うん? それはキアラも年頃になれば理解出来るようになるさッ!
わたしだって機会があれば求めるってもんさ」
「……そうだったな、アンタはついさっきオトコを誘い込むのに失敗したばっかりだったな
ほんとにどいつもこいつも……」
「そうよ、キアラ!私たちは愛し合っているから、もっと深い結び付きを欲っするの
アナタも大人になればわかるわ」
「そーかい、そーかい!
でもさ、私とスコットなんて、そんなに歳は変わらないと思うぞ?
歳が極端に離れているのはクレアとビッキーのほうさ」
「んん……」
クレアは若いスコットを相手にしていることに罪悪感を覚えてしまうのだった…