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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


「ねぇ、ジョン?まだもう少し時間があるわよ
もう一回スル?」


ジェニファーはいたずらっ子のように微笑んでくる

とこまで本気かわからないが積極的に求めてくる彼女が可愛いな、と再認識する


「最後にもう一回シたいんはやまやまなんだけど、メイヤが戻って来たら面倒だよ?」


おしゃべりの若い看護師がペラペラと周囲に話しまくってしまうのが簡単に想像できた


巨大な飛行艦ゾーナタだがクルーはみんな顔見知りだし、狭い空間に集団生活しているのだから家族当然だ

若い兵士たちは有り余ったエネルギーをセックスに使うことご多いのだが、痴情のもつれで感情の起伏が大きくなると戦場では死に繋がる事もある

慣れてくると開き直れるのだが、若い兵士はストレスから苛立ち、自暴自棄になったり判断が甘くなることもあるのだ

だからベテランの兵士たちは艦内の異性には手を付けず寄港先でハメを外す
彼らは何度も戦場で後輩たちが判断を誤って先走ってしまう瞬間を何度も立ち会っているのだ

家族を失うことはとても耐え難い

だがベテランパイロットたちは若い兵士を戒められない

彼らの若いエネルギーは誰にも止められないのだから


ジョンは行為後に肌を寄せ合う時間も好きだったから時間ギリギリの快楽よりまったりとした時間が心地よかった


「そう言えばジョン?ラーズ君にお礼言っときななよ?元々はアンタがお兄さんからローズちゃんの面倒みるように指示を受けていたんだからね?」


「ボクは子どもがあんまり好きじゃないんだよ」


「ちがうわ、慣れてないだけよ
 子どもを持ったらきっと変わるわ」


そうなのだろうか?ジョンの身近な子どもと言えば実兄ヨハネスの小さな姪っ子と偶然拾ってきたローズだけなのだから


「子どもを持ちたいかい?」


「あなたなら良い父親になれるわよ」


ふたりはひとときの休息を楽しんでいた


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