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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


ジョンとジェニファーのふたりが身支度を整えてカフェテリアにやって来たとき、ちょうどラーズ、ローズ、ガブリエラの3人が同じテーブルに着いていた


「隣いいですか、ラーズ?」


「もちろんだ、ジョン
 いつも悪いな、ヒコーキのシミュレーションに付き合ってくれて」


モビルスーツ乗りのラーズは何かあった時のために、とフリューゲルシリーズに慣れておきたかった


「えッ!?ラーズ君も乗るの?」

ガブリエラは此処のパイロットたち全員の戦闘状況を把握するようにしていたが、ラーズは此処ではいわゆるゲスト扱いだったので対象にしてなかったから驚いた


「オレのジムⅢは空では使えないだろ?
 此処のパイロット並みには無理でも機体を移動させる事ぐらい出来るようになりたいのさ
 それにガブリエラは忙しいだろ?
 機体のシステムメンテしながらパイロットたちの個別レクチャーもやってるだろ?

 それにあの“ストーム”、さらに“眠れる姫たち”の調査もやってるんだから!

 だからジョンに付き合ってもらってるんだよ」

ラーズは多忙なガブリエラに頼りたくはなかったのだが、時間を取られているジョンはたまったものではなかった


「壊滅的だよ!ラーズはモビルスーツ乗りだって事さ!間違ってもラーズが戦場まで飛ぶことは無いね、命取りだ」


するとラーズの隣でアップルジュースを飲んでいたローズがチラリと隣を見る


「アンタ、そんなに下手なの?
 ここのフリューゲルで手こずってるようだったら私のシュメッターリングなんて離陸すら出来ないんじゃない?」

小さな子どもにバカにされてもラーズはポンポンと頭を撫でてやる


「そう言うなよ、今まで飛ぶ機会が無かっただけさ!それにお前の機体はどうせ此処には無い!
 だからお前もオレと同じだ!ガハハハ!」


「バカじゃない?量産機ぐらい飛ばせるわよ!
 アンタ知らないの?
 私たちがアジアでキュールシュランクを追い詰めていたこと?」


ジョンは聞きながらあえて黙っていた

目の前の少女は同じ連邦空軍と対峙していた“敵パイロット”なのだ

こうして談笑していること事態おかしな状況なのだ


「あーあ、私も飛びたいなぁーー!」


少女が背伸びをすると背後から父親のスティーブ・グリメットが現れた


「機体なら此処にあるさ!」

父は子供のように笑っていた

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