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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


「ジョン?私は行かないわよ!?」

「そう言うなよ、せっかくの機会なんだ
 面白そうだから乗ってみようよ?
 それに前からジェニファーも機体のコックピットに乗ってみたい、て言ってたじゃないか」

「コックピットは乗ってみたいけど、この風でちぎれそうなタラップがイヤなのよッ!」


ジョンはジェニファーの身体を肩と腕で支えながら少しづつタラップを進んでいく


最後にスティーブ・グリメットがニルスに声をかけて非常口の扉を閉めようとすると、ニルスも内側から手伝ってくれた

「空の旅行を楽しんでくるがいい、3分後にドッキングを切り離すからな」

「ありがとう!ニルスさん」


スティーブはジョンとジェニファーに続いてタラップを余裕で歩いている

まるで街の路上を歩いているようだ
ときおりタラップは強風で強く揺れたりするが手すりを掴むこともなく、腰から下の重心移動だけで耐えながら歩いていく


「うちの母船にもきちんとしたタラップが必要だなぁっ!娘たちにも危ないしねぇ!」



皆はなんとか揺れるタラップを渡りきって機体の内側に潜り込んだ

中のコックピットは異様に広い

通常のコックピットがトイレの個室サイズと例えるならば、この新型機のコックピットはリビングルームほどの広さがあるのだ


なんだ、これは?本当にコックピットなのか?と驚きを隠せないジョン

へぇ?操縦席って広いのね?と初めてのコックピットが特殊なことに気づいていないジェニファー

ガブリエラとローズは〈ストーム〉のコックピットと同じくらいの大きさね、とのんびり構えている


ラーズは慣れたように中央のツインシートに座ると当たり前のようにローズもちょこんと隣に座り込んだ


「なんだよ、そこはスティーブだよ」

「大丈夫よ」

ローズは笑顔でコンソールの計器を眺めていた

「大丈夫だよ、ラーズ君!新型機開発の時にうちの娘たちも事前のシミュレーションを何度もこなしていたから!」


その様子を後ろから眺めていたジェニファーがジョンに声をかける

「本当にローズちゃんに操縦させるつもりなのかな? 冗談よねぇ?」


ジョンも気になっていた

あの低空から上空までモビルスーツを何度もジャンプさせ上昇させていくようなトリッキーな動きを、本当にこの子どもが出来るのだろうか?

この目で確かめないと…!


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