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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


母艦の外壁に取り付けられた2つのランプ
グリーンの固定ランプが消えて
レッドのフック解除に切り替わった


ガクンと足元が沈む感覚がやってくる!


「きゃぁぁぁぁッッッ!!??」


「早いって!まだ吹かしてないってのに!」


ラーズが細やかな姿勢制御のバーニアを少しづつ吹かせて姿勢が安定していく

「ラーズ君、うまいうまいっ!」
スティーブだけが拍手をしていた


「ご乗車の皆さま、本日は黒海クルーズ船へのご乗船まことにありがとうございます
 当機はトルコ発ブルガリア着でございます」

「ラーズ!ふざけるなッッ!集中しろッ!
 なんならボクに代われッ!!」


思わずジョンがいましめる


「コントロールはもらうね!
 今度はわたしよ!
 みんな捕まっててねぇッ!!」


ローズが無邪気に管制を奪うとスロットルを一気に吹き上げた!
マシンは急上昇していく!

「きゃぁぁぁぁッッッ!」

「待て待て待てッ!まだ捕まるところを探しているんだッ!」

「ローズちゃん、止めて!!」

「やっぱりウチの娘は凄いなぁ、シミュレーションしたことがあるってだけで、初めて実機を触ったのに、もう乗りこなしている」


「こンのぉ、親バカッッッ!!!!」


機体はあっという間に雲を突き抜け成層圏まで上昇してしまう


「おお、すげぇ!雲の上は雲が無いんだな?
 ローズ、今度はオレにやらせろよ、次は海面ギリギリの滑空をやろうぜっ!?」

「じゃあ、任せるよっ!」

慌ててガブリエラが制止してくる

「ストップ、ストップ!!凄い機体なのは分かったから!私たちがたまらないわっ!?」


横からスティーブが口を挟んでくる
「あ!そぅそぅ!壁側のフックを解除するとねぇ、ほらっ!サブパイロット用の座席が出てくるんだっ!すごいだろうっ!?」


「それを先に言えッッッ!!!」


新型機〈ビーネンシュトック〉は成層圏の高度を維持しつつ安定飛行をしていた

「お父さま?コレって〈シュメッターリング〉とはまったく違うわね?大きいし、推進力も段違いだわ!でもパワーばかりで小回りが効かないのね?」


「そうですよ!シュメッターリングがミツバチとしたら、この新型機はクマバチです、局地攻撃用の母船となるのですよ!」


父親は自慢げに鼻息を荒くしていた




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