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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第10章 ムーンブレイド


【幼艶の将軍  エミリー・バリー】


「待ってたよぉっ!オーロラぁっ!!」

待ち合わせの旧市街で抱きついてきたのはとても若い女の子


「オーロラ将軍、その子供はお知り合いですか? まさか……?」


「勘違いするなジェフリー、わたしに子どもなんて居ないぞ?それにこちらはとっくに成人しておられる、失礼なことを言うな」


副長ジェフリーは目を見開いてしまう

背丈は低いし、身なりも学生の休日のようなラフな格好だ

「そうよ、失礼ね!ジェフリーね、副長に上がったのね、アフターシン隊の攻撃部隊と勝手が違って驚いているでしょう?ふふふ」


なんだか子どもにバカにされている日が続く

“キアラといい、この女の子といい、サッドウィング隊に配属になってから子守り役になったみたいだな…”とジェフリーは肩を落とした

これでも前の部隊ではロジャーと双璧を成すツインアタッカーの一翼だったのにな、と過去の栄光を懐かしんだ


「なんなんです?この女の子?えらく我々の部隊の事を知っているようですが?一般市民ではないてしょうに」


すると女の子はオーロラとジェフリーかな離れたところに居るキアラを見つけた


キアラは観光客相手の露店に呼び止められて何かを買わされそうになっているようだ


「ダメよぉ、キアラちゃん!そんな店のアクセサリーなんてフェイクばっかりよ?女の子ならちゃんとしたブランドを持っておかないと!
 ねぇねぇら私の事、覚えてる??」


ジェフリーも慌ててキアラのもとに走ってきた

「バカ!離れるなよ!さらわれたりしたらどうするんだ!?」


すると隣の名も知らぬ女の子が笑い出した


「アンタ、本気で言ってんの?
 さらわれたらこのあたり一帯の人間はみんな殺されちゃうわよ、この子に!」


「久しぶりだね、エミリー・バリー将軍
 おんまり物騒なこと言わないでよ、わたしにだって誰でも敵対視しないわ!

 それに殺すのならこんなやり甲斐の無い売り子よりアンタから始末するよ?やり甲斐がありそうだ」


「あら?やってみる?」


エミリーと呼ばれた女の子とキアラが正面を向いて立ちすくんでいる

どちらも動かない

どちらかの指が動いたら、すぐに反応しそうな緊張感

露店の男は慌てて店の裏に引っ込んだ 

二人の周りが急激に空気が変わった

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