クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第10章 ムーンブレイド
「なんだッ!?モビルスーツ?
連邦軍かッ!」
ジェフリーが頭上のサブフライトシステム〈ベースジャバー〉の上に乗り込んだジムⅢを確認した
アゼルバイジャンは急激な石油需要で自国の傭兵部隊を持っている筈だ
連邦軍が飛んでくるということは越境行為に近い
ということはとてつもない目的がないとわざわざ首都バクーまで飛んでこないだろう
旧市街を逃げ惑う観光客たち
慌てて商店を閉める地元民
空は何機もの連邦軍の機体が制圧してしまった様子だ
ジェフリーはキアラを無理やり肩に担いだ!
「逃げるぞ!攻撃が始まってからでは遅い!」
担がれたままのキアラは落ち着いていた
「ジェフリー、そのままエミリー・バリー将軍のほうへ戻ってくれ、何かを持ってきたに違いない」
「何かって…? し、将軍???
あの女の子が???」
「驚くことでもないよ、ジェフリー?
彼女の仕事は諜報活動なんだ
誰も彼女を兵士だとは思わないだろ?
それもゼントリックス軍の五大将軍のうちのひとりだなんてな?
彼女がわたしのマシーンを用意したに違いない!そしてこの連邦軍も!
わたしにやってみろ!といっているのさ!
あの女はッ!」
ジェフリーの肩の上でキアラも興奮した様子だ
キアラは長かった地下施設のシミュレーションに飽きて、すくまにでも暴れたかったのだ
キアラを担いだままのジェフリーが石畳の通路を走ってエミリーとオーロラの元まで戻ってきた
「わたしの〈カタストロフマシーン〉は何処にある!?エミリー・バリーッ!?」
ジェフリーの肩の上でキアラが叫ぶ!
「あらあら、敵を見たらヤル気が出てきたのね?さすが〈ミッシング・チャイルド〉だわ!
アンタのマシーンは旧市街の丘の向こう側
こんな街なかに持ってこれるわけないでしょ?あんなバケモノ!
さぁ、ジェフリー走りなさいッ!
連邦軍はアンタたちが目的なのよッ!
その子を連邦軍に奪われないでねッ!」
「な、なにがあるってッ!???」
「行けばわかるわ!向こうからキアラを出迎えてくれるから!それよりアンタたちには連邦軍の、標的になるように目印も渡しておいたからッ!
せいぜい逃げ回りなさいッ!」
ジェフリーはキアラを抱えたまま猛ダッシュする羽目になった
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