クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第10章 ムーンブレイド
バクーの旧市街は城壁だらけだ
街ごと世界遺産にもなっている
狭い石畳の通路を抜けて、城跡を進む
頭上には何度も連邦軍のモビルスーツたちが飛び交っている
「オレたちを探しているんだ?
どうして位置がわかるんだッ!?」
ジェフリーは城跡の出窓の影に隠れて息を整えながら頭上を見上げていた
「ああ?それなら、コレだよ?」
キアラが先ほど首にかけたネックレスを見せた
「ここに発信器が付いていたんだ
だからわざとコイツを選んだのよ?
きっと何か仕掛けがあると思って」
「はぁッ!?じゃあ捨てろよッ!?
逃げられないじゃないかッ!?」
「捨てても良いんだけど、きっとこのネックレスがマシーンのアクセスキーにもなっているんじゃないか、と予測してるんだよね?
エミリーならそれぐらいやりそうだ
あの人アタマおかしいからねッ!」
ジェフリーは何もかも投げ出したくなった
ちょうど二人の目の前に市民の若者がバイクでやって来た
ジェフリーは彼がスピードを緩めた瞬間を狙って、横から蹴りつける
倒れるバイクと青年
「悪い、非常事態なんだ、このバイク借りるぜ?」
ジェフリーがバイクを奪うとすぐさま跨り、キアラもそれに続く
青年が何かを言っていたようだったがジェフリーはデュルク系の言語がわからなかった
奪ったバイクで一気に丘を駆け上がっていく
カスピ海を望む斜面に作られた街並みを走り抜ける
山の上には巨大な観光者向けの展望台やらロープウェイが見える
“丘の上って言ったって山の上じゃないかッ!?走っていける距離じゃねぇッ!
あの将軍なにを考えてんだッ!”
ジェフリーはバカバカしい仕掛けに何もかも放りだしたくなった
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