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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第10章 ムーンブレイド


新市街はカスピ海周辺だけで、山の上の方に街並みは無かった


道もわからないまま地元民しか通らないであろう山の中の一本道を走っていく

かろうじて舗装されているだけマシだ


「ジェフリー!アレじゃない?
 危険、立ち入るな!て看板があるやつ!
 まだ新しい看板だよ!」


「立ち入るな、て事は何かあるってか?」


ジェフリーはスピードをゆるめ、脇道にそれる


その先には厳重な金網フェンスが見える

脚のホルスターから銃を抜き取り、数発を放つと鍵が吹き飛んだ


「突っ込むぞ!捕まってろ!」


バイクは勢いで金網のゲートを突き破った


衝撃で体重の軽いキアラも吹き飛ばされそうになるところをジェフリーはバイクを半回転させてキアラの身体が飛ばされるよりも前に捕まえた


「な、ナイスキャッチ!
 それとも偶然??」


「しっかり捕まってろ、て言っただろ!
 ここは何だ?採掘場??
 ダムの建設現場みたいだな」


「ジェフリー!ペンダントが光ってるよ?
 当たりみたいッ!!」


「じゃあ、ダムの中に入ろう!」


ふたりはバイクを乗り捨ててコンクリートの小屋に入り、階段を降りていった


ずーん、ずーん!と振動が伝わる

「モビルスーツが降下してきたようだな?
 さっきまでは街に被害が出ないよう手加減してくれたがここなら遠慮せず撃ってくるぞ?
 本当にここにあるのか?」


「ここじゃなかったらわたしたちはジ・エンドよ?大丈夫、ここで間違いないわ!
 私にはわかる!
 わたしを待っている!
 マシーンが待ってるわ!
 ようやく会えるわね!
 〈ムーンブレイド〉にッ!!」


「む、ムーンブレイド???」


ジェフリーはキアラが新しいオモチャを見つけたようにはしゃぐ姿を見て
“こうしてると年相応の子どもに見えるんだがなぁ”と彼女の不幸な環境になんとも言えなくなってしまった…


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