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「ボクの名前はイブラヒム・エイミン
　よくスパイだとわかったね？」


イブラヒムと名乗った青年は痛みに耐えながらキアラに尋ねた


「アナタの身体から消炎の臭いがしたの、ホンモノの警備員をさっき撃ち殺したのでしょ？
　私たちがやって来る直前に」


「なんだ、バレバレかッ！
　せっかくキミを助けに来たって言うのに」


「助ける？何から？ハルフォード提督から？
　勘違いしてるのはアナタたちのほうね？

　マフィアのジャン？イギリスのスティーブ？
　みんなわかってないわね？

　私がハルフォード提督の下に居るのは力を与えてくれるからよ？

　オトコたちは慰み者にしか考えてないでしょ？そんな奴らに助けてもらってもまた地獄の日々がはじまるだけじゃない？

　それなら私に力を与えてくれるのなら、喜んで従うわッ！

さぁ、案内しなさい！イブラヒム！
　この先にカタストロフマシーンがあるのでしょうッ！！」


イブラヒムは痛みで脂汗を額からだらだらと垂らしているが、表情には出さなかった


「もちろん、先にボクが試したさっ！
　ダミーのアクセスキーで乗り込むところまではうまくいったんだけどね！

　でもコックピットは反応しなかった、
　主人はボクじゃなかったらしい！
　だからキミを待っていたのさっ！」


キアラは取って代わってやろうというような野心溢れるイブラヒムを睨みつけた


「もういいわ、ジェフリー！殺してちょうだい」


「ばっ、何いってんだ？敵かどうかわからんだろう？それにスパイなら突き出すまでだ！」


「そんな男、もう用はないわよ？
　自分のことを〈エターナル・チルドレン〉だと自認して、優越感に浸っているようなチンケな男の子、生かしておいてもいつ牙を剥くかわからないわ」


ジェフリーがためらっていると、イブラヒムは残った力を振り絞ってキアラに飛びかかろうとした！


咄嗟にジェフリーはイブラヒムの頭に銃弾を放った！

こいつ、オレに撃たれるためにわざとキアラに飛びかかろうとしたな？

ジェフリーは撃ち殺すことに抵抗はなかったが、目の前に倒れている青年はまだまだ若く、少年のような顔立ちをしていて、まるで無抵抗の未成年を撃ち殺してしまったような感覚になり、嫌悪感が強まってしまっていた